「あ、雨……」

何も持たずに飛び出したことを少しだけ後悔した。空は生憎の曇り空で、私みたいに今にも泣きだしそう…そう思っていたらとうとう空は泣きだした。私は両親、…いや、お姉ちゃんの両親の墓の前に居た。

「お父さんお母さん…って呼んでもいいのかな、」

お父さんとお母さんはどうして私を育ててくれたの?お姉ちゃんと同じように愛してくれたのはどうして?…私の本当の両親は誰なの?……私は生きてても良かったの?

みんな、私以外のみんなはこのことを知ってたんだよね…。知ってて一緒に居てくれたのは同情?

お墓の前に座り込んだ。降り出した雨に打たれているがそんなことはどうでも良い。

(いっそのことこの雨と一緒に流れてしまいたい)

「お嬢様…!」

「…土方さん」

「こんなに濡れて…!風邪をひいてしまいます!」

「いい」

「良いわけないでしょう!」

「どうして心配するの、私が可哀相な子だから?」

「そんなわけでは、」

「同情なんてしないで…!私はお姉ちゃんの重荷でしかなかったんだよ、あの屋敷に戻る気なんかない!だから土方さんも私の執事なんて辞めて…っ」

同情なんかで一緒に居てくれたって、嬉しくないよ。

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