「まーた、それ読んでんの?ハルちゃん。」
『好きだからね。』
それでもない狭いジープの後部座席。隣に座る悟浄は何故かべったりと身体を寄せてくる。悟空や私と比べて、身体が大きいのはわかるけど…。
『…それにしても近くないかな。』
「仕方ねェーだろ?3人で座ってんだから。」
彼はいつもそうやって流す。左に座る悟空が「オレの方余裕あるから寄っていいよ。」なんて言ってくれるから、私は遠慮気味に彼の方へ寄った。
右側から「ちぇ。」と小さく聴こえたけど、黙って本へと視線を落とす。いつものことではあるけど、悟浄もいい加減にしてほしい。
何度八戒に相談したことか。
「ハルちゃーん。」
『…なぁに。』
「悟浄さん、寂しいんだけど?」
『寂しいも何も、みんな一緒にいるでしょ?』
ジープに五人も密集して座ってるんだ。寂しいことなんてないでしょ?
私は本へと視線を向けたままに答える。もちろんそれじゃ納得のいかない彼。
突然右半身が圧迫されるのがわかる。
悟浄の大きな身体が、思い切り乗りかかってきたのだ。
『ちょっと、重いってば。』
「本ばっか読んでねェで、構えよ。」
「おい、悟浄やめろよ!こっち狭くなるだろッ!」
『ごめんね、悟空。』
「ハルは悪くねェよ!」ときゃんきゃん吠える悟空。そんな中、私の身体はいとも簡単に右側へと引き寄せられた。
「これでいいだろ?」
何故か悟浄の膝の上に乗せられた状態に、声を上げるのも忘れてしまう。
代わりに悟空が「いいわけねェだろ!!」と突っ込んでくれたから、おかげで目が覚めた。
『そうだよ!おろして!』
「これなら広々座れんじゃん。」
『私があり得ないくらい窮屈でしょ!』
私の訴えにもヘラヘラと笑って、聞く耳を持たない。思わず手が出そうになった、その時…。
「悟浄、いい加減にしてくださいよォ。」
前方からの声。運転する八戒がバックミラーから私たちを見やる。騒ぎすぎたのだろう。笑ってはいるものの、目が笑っていない。
『ごめん、八戒。うるさくして。』
「…うぜェのはそこのエロ河童だ。お前じゃない。」
「ンだと!?クソ坊主!!」
『もう!離してってば!!』
カッとなった悟浄から何とか逃れると、悟空に一声かけて、座席を変わってもらう。悟浄との間へ、悟空に入ってもらった。
「ちょっとお前らひどくなーい?」
「悟浄が悪ィんだろー?ハル、嫌がってんじゃん!」
『毎回毎回しつこいよ。』
「しょーがねェじゃん、ハルちゃんのこと好きなんだからv」
平然とされる告白に、私も『はいはーい。』と短く答える。これもいつものことだから。
「悟浄チャンってば寂しがり屋だから、構ってくれないと死んじゃうんだぜ?」
「悟浄の生命力なら大丈夫だッ。」
「んだとォッ!?」
かまってちゃん
(こうでもしなきゃ構ってくれないだろ?)
大変遅くなりまして申し訳ないです。
悟浄にどうしても冷たくなっちゃうので、心痛かったです。(笑)
ご希望に添えなければすみません。
管理人:あやな
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