『ん〜…』


ごろごろと居間を寝ころがる結城。特に何をするわけでもなく、ただただ天井を見つめている。



「何してんだよ、昼間っからごろごろと…。」

『…キョーちゃん。』

視線だけを向ける少女の横へしゃがみ見下ろす。そんな彼はトレーニング後なのか、汗に濡れた肌にタオルをかけていた。


『いやさー、なんか暇だなって思って。』

ごろんと一度転がると、ぺたりとうつ伏せになる。



「暇なら道場行けばいいだろ?」

『行けばいいって…。』

「なんだよ…?」


ゆっくりと上がる結城の顔。さらっと落ちた銀色の髪の隙間から見えるのは、彼女の綺麗な蒼い瞳。

大きなそれはじっと夾を見つめた。



『一緒に行こーよぉ。』

「……っ…!」

甘えるようなその声に一瞬どきっと胸を高鳴らせる。


ぶんぶんっと頭を振り精神を整えると、彼女の頭をぐっとおさえいち早く視線をそらす。



「な、なんでだよ!第一あそこには今、リンがいるだろーが!」

『いーじゃん。どーせ夾ちゃんも暇でしょ?二人だけなんだし。』


透はバイト。由希は生徒会。紫呉はきっと慊人のところだろう。

今この家には二人きり。



「ふっ、二人きり!?」

『そう、二人きり。』

動揺する夾に平然と答える。彼は結城から離れ、ようやく頭は自由になった。


ちらっと見上げれば、真っ赤な顔をして見下ろす夾。

純粋で単純なその反応に、思わずぷっと噴き出した。



『あはは…っ、相変わらず可愛いねぇ。夾ちゃんは。』

「か、可愛いとか言われても嬉しくねぇんだよ!!!」


自身の腕を枕にうつ伏せる結城はもう一度夾を見上げる。



『昔から夾ちゃんはそんなだよねー。』

「昔からって俺も成長してるっつーの…。」

『うん。でもね、夾ちゃんの素直で優しいところが…昔から好きだよ。』


躊躇いもなく告げられた"好き"という一言に過剰反応をみせる。

結城はただ嬉しそうにふわりと笑って、それだけで再び夾の動悸は速まった。



「お、俺ァ優しくねぇ!!」

『優しいよ。』

「どこがだよ…。」


むすっとそっぽを向く夾に結城は起き上がると、手足を使って夾へ近づく。

『だって』

ぐっと近づく二人の顔。




『結局は一緒に行ってくれるんでしょ?』

「……っ…」


そんな笑顔みせられたら…




「し…しょーがなくだろ!!」

『ふふっ…』


断るやつの方がおかしい。






からかいのまなざし
(君には勝てない)





――――――――――

可愛らしいイラスト
ありがとうございました!

相応なものはお返しできず
このような駄文ですが
喜んで頂ければ幸いです!


ほんとに
ありがとうございました!





2012/09/07
管理人:あやな





 


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