『ししょー!!』



縁側から声を上げる少女。奥からのそのそと現れたのは、今呼ばれた本人だった。道場に隣接している彼、藉真の自宅へ、学校帰りに立ち寄ったなつめ。


夾は真っ直ぐに道場へ向かったのだろう。近くに彼の姿はない。



「今日もこっちに来たのか。道場に行ったら会えるだろう。」


優美な所作で縁側へ腰を下ろす藉真に、今にも飛びつかんばかりの勢いで駆け寄ると、その隣に座り込む。



『道場で会ったらもう稽古モードでしょ?』


「ふふっ。こっちは何モードなんだい?」


笑いながら首をかくんと傾けると、なつめは抑えきれない笑みを溢れさせる。



『甘やかしモードだよーっ!!』


「おっと…。」



―――ポンッ




思い切り抱き着いたなつめの身体は、一瞬のうちに白いライオンの姿へと変わってしまう。それでもこれでもかと言わんばかりに、藉真の胸元でばたばたと飛びついていた。


落ち着きのないライオンを、藉真は笑いながら両腕で抱えあげる。蒼い大きな瞳がじっと見つめ返す。



「ほんといつまで経っても、親離れができないねぇ。」


言葉の割に嬉しそうな表情を浮かべる藉真。にこにこと満足そうなそれに、白いライオンもゆらゆらと尻尾を揺らした。







好きで好きで堪らない
(ど直球がいちばん)




















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