『ひゃんおー!』

「………」


ハルの声に返事はない。





『ひゃんおー!!』

「誰だ、それは…。」


冷静に返ってきた返事にハルは満足げに笑いながら、青筋を浮かべる彼へとお椀を差し出した。

その中には白い餅とカブや椎茸等、様々な具材。
いわゆる雑煮だ。


彼女のいつにない滑舌の悪さも、餅を咥えていたために、そういった発音になってしまっていたのだ。




『…もぐ……おいひーよ?』

「……そうみてーだな。」


「おまえの食べっぷりでわかる。」と言った三蔵に、ハルはさらに嬉しげに笑みを深める。



「なんだ、気持ち悪ィ…。」

『あたしの食べっぷりでどーしてわかるの?』

「お前は不味いもんだとここにシワがよるだろうが…」


ハルの眉間をひと突きすると、お椀の中の餅を頬張る。




『えへへ…』

「気持ち悪ィ…なんだってんだ。」



『あたしのこと、よく見てくれてんね。』







思わず餅を噴き出した。







無意識の視線
(過保護だから…)








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