「ねんがじょう…?」

『はい!』


ハルの部屋を訪ねれば、彼女は小さな幾つかの紙へと何やら文字を書き連ねていた。

『年賀状というのは…、新年のご挨拶を直接することが出来ない相手へと送るお手紙のことみたいですよ。』

「どうしてそれをハルが?」


そう尋ねれば困ったように笑いながら答える。



『中国支部の方々から幾つも年賀状をいただいて…コムイさんひとりでは書き切れないということなので、…中国支部の方々には申し訳ないとは思うのですが、私がお返事を書かせていただいてるんです。』

「そ、そうなんですか…」


大変ですね、なんて言ってみたけど、一枚の年賀状を手にして気づいた。





宛先が……僕なんですけど。


他のも手にして見ると、やっぱり僕宛。



そういえば中国支部の方々には良くしてもらった。けどまさかこんなにも!?


ハルをみれば黙々と次の年賀状を書いている最中だ。まさか自分のせいでハルに迷惑をかけてしまうなんて。





「ハル、ぼ…僕が書きますよ?」



『出来ました!』

「……え?」


差し出された年賀状。

宛先は僕。送り主は……今まさに目の前にいるハル。



「これは…?」

『私からアレンさんへの年賀状です!』


けど年賀状は直接挨拶が出来ない相手へと送る手紙なんじゃ…。



なんて思いながら裏返せば、そこには綺麗な字で書かれた短い文章。






あけましておめでとうございます。

今年もアレンさんと一緒にいさせてください。





たったそれだけの言葉に僕は何も言えずに、はにかむ少女を抱きしめた。








直接は言えないから
(恥ずかしがり屋の君らしい)











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