いつも飄々としていて単純そうだけど、なかなか読みにくい思考のハルは、見た目こそ普通の女だが、実はかなり強い。
お、おれ様ほどではないけどな。
ふと考えたんだが、こいつの苦手なことってないのか?
何でも器用にこなしちまうハルのことだ。こわいものなんてねぇんじゃねぇかと思ってしまう。
「ハルの苦手なこと?」
まずは付き合いの長いチョッパーに聞いてみた。
「んー…ハルは強いし何でもできるからな!苦手なことなんか聞いたことないぞ?」
ですよねー。
ハルはやっぱし何にでも万能なのか?
「おい、ハル!」
『……なに?』
ゾロに呼ばれたハルはただ返事をするだけで、見向きもしない。まぁ、いつもの光景だ。
「愛想ねぇなー。ちょっとくらいこっち向けよ。」
―――グイッ
背後からゾロに無理やり上を向かせられたハルは、その空色の瞳でゾロを見上げた。
と、言うより見上げさせられた。
「呼んでんだから…よ?」
ゾロの様子がおかしい。
見ればハルから目をそらすことなく固まってしまっている。
気になって声をかけようとするが、視界に捉えたハルの表情におれまで動けなくなる。
『……っ…!?』
顔を真っ赤に染めきゅっと固く結ばれた口元。
いつものハルと違って、なんていうか…女っぽい。
『あ…あたしに、ききき気安く触るな!!』
みぞおちに入った肘。その痛みにぐっと丸まるゾロ。ハルはふいっとそっぽを向きその場から離れて行ってしまった。
けど
ハルの苦手なもの、あるじゃねぇか。
意外に男に免疫がねぇみたいだな。
普段と違ってなんつーか…可愛いとこもあるみてぇだから安心したぜ。ほんと。
あ、でも聞きてぇんだけどさ…
それってゾロだからじゃねぇよな?
それは知りたくなかった
(今度おれでも試してm…嘘です。)
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