02


 






『ガルナ島ねぇ…』

「結局こうなるならあの時、止めとけばよかったんだなー!」

『………』

「何だって?」

『な、なんでもない!!』



マカロフの頼みに応じ、グレイと共に港へ向かうハル。アイスは相変わらずむすっとしたまま、ハルの頭に乗っていた。




『グレイと並んで歩くのも久しぶりだね』

「まぁな、おまえS級になってから俺らとチーム組まねぇもんな」

『……うん…』

苦笑しながらうつむくハルに気づいて、彼女の後頭部を軽く叩く。


『ぅあ…っ!?』

「ばーか。分かってんだよ…。二階の仕事は危険だからだろ?」

『………グレイ』

後頭部を押さえるハルの隣を早々と歩くグレイ。



「けど、一階の仕事なら一緒に出来るだろ!」

『…………』


わずかに見えた彼の表情は少し恥ずかしそうで、ほんのり頬を染めていた。



『…そうだね!』

彼の誘いにふわりと笑うハルは先を行くグレイを追うように駆け出す。頭に乗るアイスは面白くなさそうにむすっとしていた。


































「決定だな!泳いでいくぞ!」

「だから無理だって!!」


ガルナ島と言うだけで、漁師たちに断り続けられていたナツたち。その背後にすっと二つの影が近づいた。




「『みーつけた』」

「「……っ…!?」」


背筋を凍らせ飛びのくナツとルーシィ。背後にいたのはもちろんこの二人。



「グレイ、…ハルまで!?」

「何だ、てめぇら!?」

「連れ戻してこいっつうジイさんの命令でな」

「どぅわー!!もうバレたのかァ!!」

「……アイス〜!?」

「…おれは何も言ってないぞ」


ルーシィに答えるアイスと苦笑するハル。ハッピーはひゅるると飛んでハルの肩に乗る。



『破門はイヤでしょ?一緒に帰ろ』

「破門!!?」

ハルの言葉にショックを隠しきれないルーシィ。だがナツはそれを聞いても食い下がった。




「オレはエルザを見返してやるんだ!こんなところで引き下がれねぇ!!」

「マスター勅命だ!引きずってでも連れ戻してやらァ!!」

『ちょ…ちょっと』

「怪我しても文句言うなよ!」

「やんのか、コラァ!!」


両者が手に氷と炎を纏いいがみ合う。ハルは呆れたように笑うと、両手に蒼い塊を纏った。

初めて見るハルの魔法に目を見開くルーシィだが、あっという間に勝負はつく。






―――バシャ


「「…………」」

『やめなよ…。ここは素直に帰るよ、ナツ』



グレイの手の氷も、ナツの手の炎も、一瞬にして消えてしまったのだ。


「な…、何やったの?…今」

「「魔法だよ」」

唖然とするルーシィに答えたのは、足元に立つアイスとハッピー。



「そんなの知ってるわよ!ハルの魔法って…」

「ルーシィ知らなかったの?」

「ハルは…ナツと同じ滅竜魔導士だよ」

『言ってなかったっけ?』

「言ってないわよ!!」


怒鳴るルーシィの後ろでそれを見ていた漁師が驚いたように尋ねる。



「あんたら魔導士だったのか!まさか島の呪いを解くために…」

「おう!」

「い…一応」

「行かせねぇよ!!」


漁師は目を見開くと、彼らに船へ乗るよう指示する。どう気が変わったのかガルナ島へ連れていってくれるらしい。





『ナツ!S級だよ!?一緒に帰…』


「ってことで、悪ィな!ハル」

『……へ…っ!?』



―――ゴッ










 



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