02


 





そんな彼らに歓喜するのはルーシィのみで、ナツは馬車酔いで倒れこみ、グレイは服を脱ぎひとりで騒ぎ、ハルに至っては暇そうにいまだ屋敷内を見渡していた。




「噂以上の美しさ…」

「はじめまして!水竜(ウンディーネ)」

「ほら、こっちに来いよ」

『……あの…』



きょとんとするハルの肩に腕を回すレンと、手を取るイヴ。いつの間にか準備されたソファーに座らされると、何故か目の前に出されるジュース。


『…ありがとうございます』



礼を言いながらもこくこくと飲むハルを見て、彼らはさらに盛り上がる。

「美しい容貌に加えて、こんな愛らしさも供えているなんて…っ」

「妖精の女王(ティターニア)とはまた違った魅力だよ」

「……可憐だ」


好き勝手に言い放題なトライメンズに、ピクッと反応したナツとグレイは面白くなさそうに、三人を睨み付けた。



『ごちそうさま〜』

「ハル、少しは遠慮というものを…」


「いいんですよ、妖精の女王」

「僕たちが好きでそうしてるんだから」

「おまえも…、楽にしてくれ」

「そ…そうか」



キラキラと装飾を付けたように笑うヒビキやイヴに、思わずたじろぐエルザ。ハルと同じように接待を受けるエルザに続いて、ルーシィまでソファーに座らされる。




『………エルザ』

「…あぁ」


ハルの呼びかけにため息をつきながら頷くエルザに、ルーシィは何事かと疑問を持つがすぐにわかった。



「そこまで警戒することはないさ」

「何!?この甘い声…っ」


思わず胸を高鳴らせるルーシィを見て、苦笑するしかないハル。



「エルザさん、今日も相変わらずいい匂い(パルファム)だ!もちろんハルさんもね」

「……っ…」

『…あはは』


ガタガタと体を震わすエルザを見て、ルーシィとハッピーがその珍しい光景に目を見開く。もちろん彼・一夜の姿を目の当たりにしたルーシィは、甘い声に騙された自分を恥じていた。





「君たちの話は聞いてるよ。」

一夜はフェアリーテイルの5人に向き合うとエルザから順に視線を動かす。


「エルザさんにルーシィさん、ハルさん!そしてその他。」

あからさまな対応に眉を寄せる男たち。



「エルザさんは一夜様の彼女さんでしたかー」

「なら僕は水竜(ウンディーネ)を…」

「いや、僕が…」

「オレが…」




「おいおい…。青い天馬のクソいけめん共!!」


三人揃ってハルに言い寄る姿に黙っているはずのない男が、一匹の猫と共にハルの前に出た。



「うちの姫様に手ェ出すんじゃねぇよ…。てか気安くハルに触ってんなよ…」

「……おまえらにハルの相手が務まるわけねぇだろ」

グレイとアイスの訴えに、ヒビキたちも負けじと睨み返す。


「喧嘩か!オレも混ぜてくれ!」

「やめんか、貴様ら…っ!?」

「…エルザさん」

訴えるナツに呆れたエルザが声をかけるが、背筋を走る悪寒に体を震わすと思わず一夜を殴り飛ばした。




「メーン」


入り口に向け飛んでいく一夜だったが、ある人物によって頭を掴まれ氷付けにされてしまう。



「いい挨拶だな…。おまえらは、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)上等か?」

そこに立つ男にフェアリーテイルの面々は目を見開いた。










 



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