02


 





『楽勝、楽勝!』


駅で買った飴をころころと口の中で転がしながら道を歩くハル。昨日夕方にギルドを出たハルは結局仕事先で一泊し、昼にギルドへ帰ってきていた。



「こんなときに仕事なんて行って大丈夫だったのかよ」

『………』


アイスの言葉に黙り込むハルは、むっと口を尖らせる。



『こんなときだから、仕事でもしてなきゃ……幽鬼の支配者(ファントムロード)を潰しに行きたくなる』

「…あり得るな」

『そろそろギルド直ってるかな?』

「いや、まだ早すぎるだろ」


天然なのかボケているのかわからないハルの発言に鋭く突っ込むアイス。ハルがけらけらと笑いながら道を歩いていると、町の人たちがこそこそと会話する。



『……なんだろ』

「ああ」


首をかしげるハルに顔見知りの町の人たちが声をかけた。



「ハルちゃん…、あんたは行かなくてよかったのかい?」

『……へ?どこに?』

「知らないのかい?」

「今朝、南口公園でギルドの子が幽鬼の支配者(ファントムロード)にやられてたって…」


「『……っ…!?』」




目を見開くハルとアイスに、慌てたように続けるおばさん。


「ついさっきマスター・マカロフ率いるフェアリーテイルがファントムロードに…っ」

「ちょっと、ハルちゃん!?」



最後まで話しを聞くこともなくハルはアイスに掴まり空へと飛び立つ。


『……許さない…っ』

「………」

いつもより低いハルの声にアイスは飛行速度を上げた。


































―――ドゴォオオン


ここはマグノリアオーグのギルドファントムロード。




「調子こいてんじゃねぇよ…っ、クズ鉄野郎が!!」

「……っ…」


そこではフェアリーテイルとファントムロードの全面戦争が行われており、今まさにフェアリーテイルの滅竜魔導士ナツと、レビィたちを磔にした本人、ファントムロードの滅竜魔導士ガジルがぶつかり合っていた。



「ほう…噂通りだ、なかなかのパワーだな。で?それが本気か?火竜(サラマンダー)」

「安心しろよ、ただの挨拶だ。竜のケンカの前のなァ」


睨み合う二人は一斉に地を蹴るとお互いに飛びかかる。









―――ゴゴォオ



「「……っ…!?」」



二人の間に立ちふさがる人影。膨大な魔力を纏ったその人物は、氷のような冷たい瞳でガジルを睨みつけていた。



「な…っ、ハル!!?」

「ハル!!」


驚きを隠せないフェアリーテイルに対し、何者かと騒ぎ始めるファントムロード。今睨みつけられているガジルも、訝しげに目の前に立つハルを見る。



『竜同士のケンカなら、あたしも仲間にいれてよ…』

にこりとも笑わないハル。


「竜同士の…って」

「まさかアイツが…!?」



口々に漏らし始めるファントムロードの面々に見向きもしないハルに、ガジルはギヒッと特徴ある笑みを浮かべた。









 



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