02









悔しそうに歯を食いしばるハルの頭に、ラクサスは大きな手をぽんっと乗せた。


「それが分かってんなら黙って寝てろ。」

『負けたままじゃ、名折れだ。』

「今回のあいつのやり方が非道だったのは明らかだ。他の奴らが何と言おうが、俺たちはおまえの方が強いと知っている。」

『だったら次こそあたしが…』




「いい加減にしろ!!」


びりっと辺りの空気が震えるほどの怒声に、ビクッと肩を震わせる。ハルだけではなく、その場にいた他の仲間たちも、あまりの驚きに何も声が出ない。



「おまえが強いのはわかってる。けどそれは、おまえにこんな怪我がねぇ場合の話だ!んな怪我したまま、勝てる相手か!?」

『け…怪我してるのは、あたしだけじゃないじゃん!エルザだって、ナツもグレイも……っ。』


目の前のラクサスの表情に気づき、言葉を止める。



『ら、ラクサス…?』

「悔しいのはおまえだけじゃねぇんだ。」

『…っ!?』


その言葉にぐっと言葉を詰まらせた。彼の後ろに座るマカロフも何も言わずに目を伏せる。



「仲間がやられて…、悔しくねぇわけねぇだろ!おまえだって、グレイやルーシィ、ウェンディがやられた時、悔しくて堪らなかったんじゃねぇのか!?」

『!!』





<あたしはウェンディを傷つけた相手をぶっ飛ばしたいんだ!!>



<あたしのかぞくをきずつけたやつは…あたしがぜーいんぶっとばぁーす!!!>




思い出された感情は、彼の言うとおり、悔しくて悔しくて堪らない、何とも言えない暗く苦しい感情。

手の届くところで傷つけられる仲間の姿は、今思い出しても苦しいもの。



「今、その感情と同じものを俺たちは背負ってる。」

『…同じ?』

「ああ。だから一人で頑張ろうとすんのはやめろ。」





<一人で背負うことは本当の強さではない。間違ったものだ。家族を信じることも、時には必要だ。>


<最後まで信じろ…。>



『……ごめん、なさい。』


しゅんとする少女は諦めたのか、ベッドの上に座り込む。ほっとする仲間たちと、呆れたように笑うラクサスとエルザ。




「ハル。」

『じぃじ…。』


これまで黙ったままだったマカロフ。腕を組み、じっと動かず目を伏せる。



「わしはハルが負けるとは思わんかった。」

『…っ、ごめ…っ。』

「しかし、わしらの期待がハルをここまで追い詰めておったことにも、気づけんかった。」


ゆっくり開いた瞳は、まっすぐに少女を見つめる。

マカロフの言葉に、肩を震わせたのはハルだけではない。ナツはぐっと拳を握りしめた。



「わしは自分のガキを危うく潰すところじゃった。…すまんかったのぉ。」

『そんな…。』


「オレも…あいつ(ミネルバ)に言われて気づいた。」



うつむきがちなナツからの声に、ラクサスはふっと笑う。


『や、やめてよ。みんな…』

へらっと笑うハルは、困ったように眉を下げた。他の仲間たちも、ナツと同様に思い当たる節があったのか、面持ちが暗い。



『あたしは守られてばかりなのはイヤ。あたしはみんなを守るために強くなりたい。』




















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