01










「ハル!!勝ったぞ!!」


大きな音をたて、医務室の扉を開くナツ。続いて他のメンバーも入ってくる。

一気に騒がしかなる医務室に、ハルは苦笑しながら起き上がった。



『分かってるよ。お疲れさま。』

シェリアのおかげで傷跡も残らなず、回復したハルだが、大事を持って医務室で休息をとっていた。


『あとは最終日だけ。』

「まさか出る気じゃないよね?」

『…だめ?』

アイスの問いに首をかしげながら尋ねる。もちろん声を大にして「ダメだ!」と訴えるアイスに、ハルは不満そうに口を尖らせた。









海戦の後、気を失ったハルは医務室まで運ばれた。

ウェンディとシェリアのおかげで、傷が残ることがないほどに回復。



大魔闘演武では大鴉の尻尾の脱落により、出場チームが奇数になったため、妖精の尻尾A、Bチームの統合命令が言い渡されていた。

そのメンバーは、ナツ、グレイ、エルザ、ガジル、ラクサス。



そして、今回のバトルパートではタッグバトルが行われ、妖精の尻尾からはナツとガジル。

タッグバトルの相手は、剣咬の虎のスティングとローグだった。


滅竜魔導士4人の戦いに、見事勝利したのはナツ。圧倒的強さを見せつける形となった。







「大丈夫だ!ハルが出なくてもオレらが全員ぼこぼこにしてやる!!」

「おれらに任せて、おまえはここで安静にしてろ。」


ナツとグレイの言葉にむっとし、勢いよく立ち上がる少女。思いも寄らない行動に、仲間たちはぎょっとする。



『この状態でもナツとグレイには絶対負けない自信あるもん!』

「「わざわざ張り合うところか!?」」

声を揃えて突っ込む二人。そんな彼らにハルは食い気味に訴える。


『もう絶対負けない!虎の女も、カグラも、ジュラもまとめてぶっ飛ばせるなんて最高じゃん!!』

「確かに明後日の競技ではそれが可能だが、まだ完治してはいないだろう!」

『エルザだって無理してるじゃんか!!』

「私の傷はハルと違って深いものではなかった!!」


言い争うハルとエルザ。この二人の争いを止めることなど、誰が出来るだろうか。

じっと睨み合う二人に、ナツもグレイも困惑する。






「やめんか。」

「やめろ。」


二つの声にぴくっと反応する二人。声がする方を見れば、入り口に立つマカロフとラクサス。



「何をやっておる、エルザ。」

「おまえは黙って寝てろ、ハル。」


鶴の一声とでもいうのか、さっきまで言い争いをしていた二人は、借りてきた猫のように静かになった。



「さ、さすがね。」

「二人とも逆らえないんだね。」


ルーシィとハッピーが呆れたように笑う中、ハルはマカロフに手を合わせて頼みこむ。



『じぃじ!明日一日寝てるから!だから明後日出させて!!』

「ダメに決まってんだろ。」


答えたのはラクサス。けれどハルは退くことなく続けた。



『だってあたし負けたんだよ?虎の女にやり返すまでは…。』

「そうだ。おまえは負けた。」

『…っ。』

「おい、ラクサス!?」


あまりにハッキリとした物言いに、さすがのエルザも声をあげる。











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