02









「水竜は自ら残っておるのだ。」


そう。ハルはミネルバに押し出されまいと、水圧で威力を殺していたのだった。



「いたぶり甲斐のあるやつよのう。」

『…はぁ……はぁ…』

ハルはすでに虫の息。何とか顔をあげて仲間たちへと視線を向ける。


『……っ…。』

彼女の視線の先には心配そうに戦況を見つめる相棒の姿。ほっとするハルはミネルバと向き合うと、震える腕を広げた。



「今さら何をするつもりだ?」

『…み…んなの、期…待……うらぎれ、ないから…っ。』

あたりの水が少女の身体を覆う。魔力の増幅に眉を寄せるミネルバ。


『滅竜奥義…』

「させぬ!」

『蒼蛇水流演舞!!』



強烈な水流を纏ったハルが、ミネルバへと突進する。避けることなく手をかざすミネルバ。


「残念だったな、水竜。」

『……っ!?』

ハルが纏って水流は一瞬にして消え去る。愕然とするハルに、ミネルバは不敵な笑みを浮かべた。


「よう耐えたと褒めておこう。」

再び連続攻撃を受けるハル。ミネルバは手足を休めることなく、一方的な攻撃を与えていく。



そしてやはり少女の身体は場外に出ることはない。


「ハル!もういいよ!!」

「無茶すんな!!」

涙ながらに訴えるルーシィとナツ。少女のぼろぼろの身体に仲間たちは顔を歪めた。



「もうよいとお許しが出たぞ?」

『……。』

くたっと浮かぶ身体はもう動かない。ミネルバの声も仲間の声にも、反応が出来ない。


「楽しませてもらったぞ。思いのほか、弱くて脆かったが…。」

『…っ。』

「あれほど騒がれていた魔導士であったから、期待しておったのだが…。所詮妖精の尻尾の魔導士であったのう。」


ハルの首を掴むミネルバは、動けないほど憔悴した少女に嘲笑する。

抵抗出来ないハルの首をギリっと絞めていくミネルバ。










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