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「このまま場外に出してやろう。もう良いだろう。2位は確実なのだから。」


ミネルバの言うとおり、すでに5分経過しており残すは1位2位を決めるだけ。

その瞬間、ハルの手に力がはいる。



『言ったでしょ…。ぶっ飛ばしてやる…て。』

「……。」


ハルの言葉に黙り込むミネルバは怒りに顔を歪ませた。



「…っ、頭が高いぞ!妖精の尻尾!我らこそ天下一のギルド・剣咬の虎ぞ!!誰に向かってものを申しておるのだ!!!」

『……っ!?』

顔面を殴り飛ばすミネルバ。突然の豹変にガードも出来ない。態勢を整えれば、すでに目の前に現れる怒り狂ったミネルバの顔。


『…な…っ!』

「簡単には負かしてやらんぞ。」

片腕を掴まれ持ち上げられ、腹部へと入る蹴り。逃げられない状態にあるため、衝撃は緩和されることなく全ての力が腹部へとかかる。



『水竜の…咆哮!!!』

ゼロ距離からの咆哮。水中ということもあり、さらなる負荷がかかっていた。




しかし、ミネルバの手はハルから離れない。

『な、んで…』

「そなたでは妾には勝てぬ。」


にやっと笑うミネルバに目を見開く。一方的な攻撃を受けるハルに、先ほどまで沸き立っていた会場は静まっていた。



殴り飛ばされるハルの身体は、場外に出る直前に勢いを失くす。ミネルバに腕を掴まれ再び連続攻撃を浴びせられるハル。


「もうやめろよ!!」

「あの女…っ。」

ギリっと怒りを露わにするナツやラクサス。


ミネルバはハルの頭を掴み上げると、場外から訴えるナツたちへと告げた。



「妾は水竜を場外に出そうとしておるぞ。」

「おまえがそれを阻んでるんだろうが!!!」

「それは違う。」


ミネルバはすでに息の小さなハルを思い切り蹴飛ばす。勢いよく場外へと向かう小さな身体。




しかし、やはり場外に出る直前に勢いを失くした。

ミネルバは何もしていないのに。










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