▼ 02
―――ガシッ
『ぐ、グレイ!?』
途端、ハルの前へ出たグレイがその剣を掴むと自身の胸へと向ける。その態度にエルザは鋭い視線でグレイを睨んだ。もちろんグレイもエルザを見ている。
再び訪れた場の冷たさに「ひっ…」と怯えるルーシィ。
「勝手にしやがれ…。」
『……グレイ』
「これは俺が選んだ道だ。やらなきゃならねぇことなんだ!」
そう言って剣から手を放すとエルザの横を黙って通りすぎ、入り口で立ち止まると一度だけ振り返った。
「最後までやらせてもらう…。斬りたきゃ斬れよ」
「……っ…」
ぐっと噛み締めるエルザはその剣をルーシィとハッピーに向かって振るう。
―――ザンッ
「これでは話にならん。全ては仕事を片付けてからだ。」
「「エルザー!!」」
「勘違いするなよ…。罰は受けてもらうぞ!」
喜ぶ二人に一喝し、ちらっとハルに視線を向けた。目をまるくして首をかしげる。
「…ハル」
『……どうしたの?』
さっきまでのにらみ合いがなかったかのように尋ねるハルに、ふっとエルザは頬を緩めた。
「おかえり、ハル」
『ただいま〜!エルザ!』
ふわりと笑うハルの頭をそっと優しく撫でる。
そんな二人を見ていたルーシィがこそっとハッピーに聞いた。
「あの二人って仲が悪いんじゃないの?」
「なんで?」
「だってさっき!!」
きょとんとするハッピーに訴えれば、「あぁ」と小さく漏らす。
「エルザはハルのこと、妹みたいに考えてるんだよ!」
「妹?」
「本当のじゃないよ?ハルも滅竜魔導士だから、ナツと同じようにドラゴンに育てられて家族はいないし。けどちっちゃい頃から一緒にいたからか、エルザってば心配でいつも過保護になっちゃって、ああやって言い争うんだ〜」
「……人騒がせな。」
ため息をつきながらも、嬉しそうに表情を緩めるハルと安心したようなエルザを見て、ふふっと笑みを溢した。
『デリオラが?』
「あぁ…」
遺跡に向かいながらこれまでのことを話すグレイ。デリオラを知っているようなハルの反応に、ルーシィがぽつりと呟く。
「なんでハルはデリオラを知ってるだろう?」
「グレイがハルに話さないわけないじゃんか」
「え!?」
「まあ、おれも聞いてたけどな」
「それはハルと一緒だったからでしょ?」
「ちょ、ちょっと!どういう意味?あの二人って…」
―――ヒュッ
「『危ないっ!!』」
エルザがルーシィを突き飛ばし、ハルはアイスとハッピーを抱きしめた。辺りを飛び回る刃を華麗に避けるハルとグレイとエルザ。
「見つけたぞ!フェアリーテイル!冷帝様の邪魔は許さん!!」
「こいつら…」
「リオンの手下か…っ」
森の中から現れた何十人もの手下に、いつの間にか彼らは囲まれていた。
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