02


 




―――ガシッ


『ぐ、グレイ!?』



途端、ハルの前へ出たグレイがその剣を掴むと自身の胸へと向ける。その態度にエルザは鋭い視線でグレイを睨んだ。もちろんグレイもエルザを見ている。

再び訪れた場の冷たさに「ひっ…」と怯えるルーシィ。


「勝手にしやがれ…。」

『……グレイ』

「これは俺が選んだ道だ。やらなきゃならねぇことなんだ!」

そう言って剣から手を放すとエルザの横を黙って通りすぎ、入り口で立ち止まると一度だけ振り返った。


「最後までやらせてもらう…。斬りたきゃ斬れよ」

「……っ…」

ぐっと噛み締めるエルザはその剣をルーシィとハッピーに向かって振るう。




―――ザンッ



「これでは話にならん。全ては仕事を片付けてからだ。」

「「エルザー!!」」

「勘違いするなよ…。罰は受けてもらうぞ!」


喜ぶ二人に一喝し、ちらっとハルに視線を向けた。目をまるくして首をかしげる。



「…ハル」

『……どうしたの?』


さっきまでのにらみ合いがなかったかのように尋ねるハルに、ふっとエルザは頬を緩めた。


「おかえり、ハル」

『ただいま〜!エルザ!』

ふわりと笑うハルの頭をそっと優しく撫でる。



そんな二人を見ていたルーシィがこそっとハッピーに聞いた。


「あの二人って仲が悪いんじゃないの?」

「なんで?」

「だってさっき!!」

きょとんとするハッピーに訴えれば、「あぁ」と小さく漏らす。


「エルザはハルのこと、妹みたいに考えてるんだよ!」

「妹?」

「本当のじゃないよ?ハルも滅竜魔導士だから、ナツと同じようにドラゴンに育てられて家族はいないし。けどちっちゃい頃から一緒にいたからか、エルザってば心配でいつも過保護になっちゃって、ああやって言い争うんだ〜」

「……人騒がせな。」



ため息をつきながらも、嬉しそうに表情を緩めるハルと安心したようなエルザを見て、ふふっと笑みを溢した。































『デリオラが?』

「あぁ…」


遺跡に向かいながらこれまでのことを話すグレイ。デリオラを知っているようなハルの反応に、ルーシィがぽつりと呟く。



「なんでハルはデリオラを知ってるだろう?」

「グレイがハルに話さないわけないじゃんか」

「え!?」

「まあ、おれも聞いてたけどな」

「それはハルと一緒だったからでしょ?」

「ちょ、ちょっと!どういう意味?あの二人って…」





―――ヒュッ




「『危ないっ!!』」


エルザがルーシィを突き飛ばし、ハルはアイスとハッピーを抱きしめた。辺りを飛び回る刃を華麗に避けるハルとグレイとエルザ。



「見つけたぞ!フェアリーテイル!冷帝様の邪魔は許さん!!」

「こいつら…」

「リオンの手下か…っ」


森の中から現れた何十人もの手下に、いつの間にか彼らは囲まれていた。







 



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