02








『…っ、グ…れいの…こえ……』



聞こえるのは家族の苦しみにあがる声。ゆっくりと開かれる瞳に映るのは、倒れているにも関わらず魔法弾を撃たれ続ける家族たち。

頭を踏みつけられるナツが視界に映る。


『…っ』

荒くなる呼吸。彼らはハデスの容赦のない攻撃に身動きが取れない。攻撃を避けることすら出来なくなっていた。


『…たしが……る…っ』



―――パリッ…パリィン


身体を覆っていた氷が割れる。ふらっと立ち上がるハル。

その姿にいち早く気がついたルーシィは、ぽろぽろと涙を溢れさせた。



「ハル…っ!」

『……っ』

地を蹴り素早くハデスの懐へ飛び込むハル。動けるはずのない彼女の存在に、大きく開かれるハデスの目。


「小娘…っ!?」

『…たしがま…もる…っ!!!』

倒れこむナツからハデスがふらつきながら離れる。


『言ったでしょ…。あ、たしの…家族を……きず…つけ………ゆる、さな…っ』





―――ドサッ


「ハル!?」

その場に倒れこむハルの荒い呼吸に、誰もが彼女は限界だと悟る。これ以上彼女を戦わせてはいけない、と。



「ふん…やはり、とどめを刺しておけばよかったな…。」

『………はぁ…っ、はぁ…』

「もうよい。眠れ…。」


ハデスの指先に集まる魔法弾。ハルは立てずともなお、ハデスを睨むように見上げる。

「汝は最後まで強き魔導士であったな…」

『………っ』



「やめてえぇええ!!!」

指先から放たれる攻撃に、涙ながらにルーシィが叫ぶ。グレイも動かない身体をよじるが間に合わない。




―――ゴロゴロッ…ゴォン


激しい落雷とともに爆煙が辺りを包んだ。










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