01








「まさか七眷属にブルーノートまでやられるとは…。ここは素直にマカロフの兵を褒めておこうか。……やれやれ、この私が兵隊の相手をすることになろうとはな。」


ハデスが船の上から島を見下ろす。そこから鋭く彼を睨みつけるのは、"マカロフの子"。

「悪魔と妖精の戯れも、これにて終劇…。どれどれあの小娘といい、もう少し遊んでやろうかな。


3代目フェアリーテイル!来るがよい、マカロフの子らよ…。」



ぐっと拳を握りしめるグレイは、背を向けるハデスに向かって叫ぶ。

「ハルはどこだ…っ!?」

「そうよ!あたしたちより先に、ここに来たはず…っ」

「ハル…というのか?あの小娘は。」


歩みを止めるハデスはふっと笑みを浮かべた。

「…自分たちの目で、確かめるといい。」




再び歩き出すハデス。ナツたちはぎっと歯を食いしばる。


「…ちっ……!!」

舌打ちをしながらもグレイは、ハデスのいる場所へと一直線に氷の階段を作り出す。


「あいつはマスターをも凌駕する魔導士…。開戦と同時に全力を出すんだ!!」

「…ハルさん…っ」

「ハルーーーっっ!!」


船に足がついたと同時に、ハデスへと攻撃をしかけるナツ。しかし相手は辺りを襲う炎を片手で容易に制する。

「…ふん」


両サイドから襲いくるグレイとエルザにも、ハデスはもろともしない。

続くルーシィによるタウロスの攻撃に加え、ウェンディによる素早さ、攻撃力、防御力の強化。


「ちょこまかと…」

魔法の鎖に捕まったエルザはそのままグレイに突っ込む。



ハデスの頭上へ飛び出したナツが両腕にまとった炎で仕掛けるも、すぐに態勢を整えたハデスによって吹き飛ばされてしまう。


「ナツ!!」

「おう!」

氷のハンマーを足場にナツを打つグレイ。勢いよく飛び出したナツに向かって、ウェンディの咆哮とスコーピオンの攻撃が、ユニゾンレイドとなって、さらに勢いを与える。


「火竜の劍角!!」

「……っ…」

その勢いのままナツはハデスの腹部へと突っ込んだ。初めて吹き飛ぶハデスに、手応えを感じるナツたち。




しかし


「人は己の過ちを経験などと語る。」

爆煙が辺りを覆う中、ナツたちの元へ平然と歩んでくる人影。ルーシィは驚きを隠しきれずに、目を見開いた。


「しかし本当の過ちには経験など残らぬ…。私と相対するという過ちを犯した汝等に未来など、ないのだから…のう。」

無傷のままにその場に立つハデスに、圧倒的なちからの差を見せつけられる。


「で、でも…見てください!左腕が…っ」

ウェンディの声に彼の左腕へと視線を移せば、何故か凍りつきまともに動かすことが出来てはいない様子。



「なんで…」

「先ほど汝等も言っておったであろう…。ハル、という小娘のことを。」

「やっぱりハルと戦ったのか!?」

「……っ!!」

ここに着いて初めて辺りを注意深く見回した。冷えきった部屋のあちこちが凍っている。


「ハルはどこだ…っ!!」

エルザの訴えにもハデスは答えない。

「汝等とは違い、あの小娘はなかなか楽しませてもらった…。」


「……っ!!?」



わずかに彼女の臭いを嗅ぎ取ったナツが勢いよく振り返った。辺りは氷の結晶で覆われており、人影の確認など容易ではない。


「ハル!!!」

「ちょ…ナツ!?」

突然走り出したナツに驚くルーシィ。彼の行き先に気づいたルーシィたちは大きく目を見開いた。



「おい…っ!ハル!!しっかりしろっ!!」

「ハル!?」

「何故、ハルが凍っているんだ!?」

一斉に駆け寄るエルザたち。ハデスは声をあげて笑う。


「その小娘はよくやった。私の左腕を潰したのだからな…。自分の命と引き換えに…!」

「……っ!!?」

ハデスの言葉にピクリと反応をみせる。



「しかし私には勝てぬ!汝等もだ!ここで皆、朽ち果てるのだ!!」

「ハルが簡単に命懸けるわけねぇだろぉお!!!」

グレイの叫び声にナツの腕の中にいた身体が、わずかに身じろいだ。










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -