01
海兵に追われ走り回っていると、ルフィの視界に見馴れた人物たちが入った。
「ゾロ〜!あ、みんなァ!!」
迷いなく駆け寄るルフィに隠れていた一味は、慌てて荷物を手に走り出す。どうやらもう買い出しは終わったようだ。
「てめぇ、一人で撒いてこい!!」
「一人じゃねぇさァ!ハルも一緒だ!」
口を開けて笑うルフィの脇には、黙って抱えられるハルの姿。
「来たーッ!!」
背後に迫る葉巻男。しかし一味と男の間に火がごうごうと飛んできた。
『……火判…ッ?』
「ぅお!」
ルフィの腕から無理やり逃れると、慌てて火の出所を追う。ラビかと思ったその火は、全く違う人物から放たれたものだった。
『エース…』
「お嬢さんはルフィの連れだったのか!」
一味は不思議そうにハルとエースを見る。
「ここはおれが引き受けよう。おまえらは先に逃げろ。」
「エースだ!!」
ルフィが嬉しそうに笑いながら言われた通り走り出す。一味はそんな船長の背中を慌てて追った。
「どうゆうことだ?」
「あいつ、知り合いなのか?」
「あぁ!エースはおれの兄ちゃんだ!!」
「「「えぇっ!?」」」
一味の驚く声にゲラゲラ笑うルフィ。ハルはちらっと振り返りながら、彼の体から放たれる火を見つめていた。
『………』
メリー号に着いてからも黙ったままのハルを置いて、一味はバタバタと出航の準備をする。
「もう出ちゃうのか?」
「ナノハナにはもともと食料や衣服を調達に立ち寄っただけなの。」
チョッパーが首をかしげるとビビが苦笑しながら答えた。
「さぁ、出るわよ!」
「「「………」」」
「あれ……ルフィは?」
ナミの掛け声にいつもは高らかに叫ぶルフィだが、その船長が見当たらない。とりあえず出航させ敵を撒いてからルフィを探そうという提案に一味はうなずいた。
「お!いたぞー!!」
岸を見ていたウソップがどうやらルフィを見つけたらしい。ぼーっとするハルの視界に何かが伸びてくる。
「まさか…っ」
サンジが顔を歪めたとほぼ同時に、岸から何かが飛んできた。…もちろん船長だ。
「悪ィ!サンジ、ウソップ、チョッパー!」
全く反省の色が見えないルフィに一味は呆れるが、一緒だと思っていたエースがいないことに声をあげる。
「大丈夫!エースは強ェんだ!昔は悪魔の実なんて食べてなかったけど、おれァ一度も勝ったことねぇ!でも今ならおれが勝つけどな!!」
「誰が誰に勝てるって?」
いつの間にか背後に現れたエースに、ルフィは甲板へ転げ落ちる。
『………』
エースを視界にとらえるとハルの空色の瞳はあからさまに揺れる。
「……」
そんな彼女を一瞥したあと、エースは丁寧に一味へあいさつをする。ルフィの兄とは思えないその礼儀正しさに、ビビ以外は遠慮なくおどろいていた。
「なんでエースがここにいるんだ?」
「ドラムで聞いたんじゃねぇのか?おれァ今、ある男を探している。黒髭っつー男だ。」
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