02
『……っ!?』
「黒髭ってドラム島を襲った海賊!?」
「あいつは二番隊でおれの部下だ。白髭海賊団で最も罪の重い"仲間殺し"をして逃げたんだ。」
ぎりっと音をたて拳を握りしめるハルに、ナミは彼女を思って顔を歪めた。
『あんたは…』
突然口を開いたハル。彼女のことを聞いていた一味は黙って息を飲む。
『あんたは、黒髭を見つけてどうするの…』
「決まってんだろ?おれの部下だ、おれが始末する。」
『………だったらあたし』
「ダメだ!!」
ハルの言葉を遮ったのはルフィで、一味は唖然として彼を見る。
「いきなり何言ってんだよ!?」
慌てるウソップをよそにルフィはまっすぐにハルを見据えていた。
「話はよくわかんねぇけど、おまえはおれの仲間だ!」
『……ルフィ…』
空色の瞳をまるくするハルを見て、船長はニシシと笑った。
「こいつ変なところで鋭ェからな…」
「野生の勘ってか?」
呆れるゾロとサンジに加え、ハル自身も息をつき口許をあげる。そして空色の瞳をまっすぐとエースへと向け言い放った。
『だったら悪いけど黒髭を見つけたら、…あたしが始末するから。』
「…ほう」
にやりと笑うハルを唖然とした表情で見つめる一味と、面白そうに笑うエース。ルフィは満足げににっと笑った。
『あんたと一緒に行けたら見つかるんじゃないかって思ったけど…、船長が許してくれないみたいだから』
「当たり前だ!ハルはおれの仲間だっ!」
「おまえなら一緒に来て問題ないと思ったんだがな、船長がわがままだから仕方がないか」
ごそごそと懐から白い紙を取り出したエースは、それをルフィに差し出す。
「あと…おまえにこれを渡したくてな」
「なんだ?ただの紙じゃねぇか」
「これがまたいつかおまえとおれを引き合わせる。…いらねぇか?」
「いや、いる」
白い紙を大事そうにしまうルフィを確認し、ストライカーに乗り込むと船を見上げた。
「出来の悪い弟を持つと兄貴は心配なんだ。おまえらもこいつにゃ手を焼くだろうがよろしく頼むよ」
丁寧に頭をさげるエースを見て教団の仲間を思い出す。いつもハルの心配ばかりをしていたリーバー班長を。
「ルフィ、次に会うときは海賊の高みだ」
「おう!」
「ああ!…お嬢さん」
声をかけられ下を見下ろせば、にやりと笑うエースと目が合う。そんな彼をきょとんと見ていると、ストライカーは動き出した。
「威勢がいい女は嫌いじゃねぇ、けどあまり無茶ばかりして後ろのそいつらに心配させんじゃねぇぞ?」
『え…?』
振り向くとゾロとサンジが苦い顔をしてハルを見ていた。目をまるくするハルに下から再び声がする。
「おまえは…昔のおれみたいだからな。…船長だけでも手のかかる一味に拍車をかけねぇように気をつけな」
『……わかってる。…あたしはあたしにできることをやる』
<出来ることをやればいい>
まっすぐな瞳でそう答える少女にエースはハットをかぶり直し、手をあげるとストライカーはメリー号から離れていった。
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