光に導かれて | ナノ

01












「なぁ、何してんだ?」


船尾に横になるハルにチョッパーが駆け寄る。調子でも悪いのかと気にする船医だが、もちろん違うと首を横に振った。



『少しでも強くなりたいから……修行かな?』

「修行?」


ハルの手足は紅く色を付け、彼女の武器であるイノセンスが発動していることがわかる。

しかし、チョッパーはかくんと首をかしげた。



「充分強いのにハルでも修行が必要なのか?」

『あんな簡単に捕まっちゃうやつを強いなんて言わないよ。これからもあんなやつらより強いやつ、ごろごろいるんだろ。』

「そ、そーなのかっ!?」


一人ぎょっと焦り始めるチョッパーは「おれも修行するぞ!!」と、ハルの隣で声をあげ、さっそくゾロの元へと弟子入りしに行く。

その様子を見送るハル。


どれくらい経っただろう。イノセンスを発動させて、それほど酷使はしていないが、長時間の発動はなかなか体力を消費してしまう。

余裕のあるうちは、海へと紅い弾を撃ち、自分を追い詰めていた。さすがに今となっては困難で、起き上がるのもしんどくて躊躇われる。



『…起き上がれないんじゃ、意味ないし。』


発動を解くと、大きく深呼吸。

起き上がることは可能だろうが、激しい動きは出来そうにない。今敵船に襲撃されたら、仲間に任せる他ないようだ。



「ハル!何してんだァ?釣りしよーぜ!!」


ひょこっと見下ろすのはにっと満面の笑みを浮かべる船長。突然の登場にもかかわらず、ハルは黙って首を横に振る。


「横になってるだけなら暇だろー?!」

『………そーみえるかもしれないけど、違う。』

「よくわかんねェけど、無理すんなよ!」



それだけ言い終えると、ルフィはさっさと離れていく。何とも勝手な船長に、大きくため息をついた。


『無理なんか…。』




彼らが言う"無理"とはどこまでのことを言うのだろうか。仲間の心配ばかりして、自分たちのことを蔑ろにしてしまってはいないだろうか。

自分はどうなのか、と言われてしまえば、ハルも黙らざるを得ないが。


CP9との死闘を思い出しても、彼らを守るためにはまだまだ足を引っ張るばかりなのではないかと、ひとり思いふけっていた。






「おい!海に何か浮いてるぞ。」


ゾロの声にゆっくり起き上がる。

樽だ、宝だ、などと騒ぎ始めた甲板。面倒だったハルは、そのまま再度横になる。依然として神様だ、酒だ、と何やら騒いでいる様子。



いつもの甲板にふっと笑みをこぼした瞬間――。







――ボシュッ…ヒュルルル……パァン!!!



突如、空が明るく光る。どうやら閃光弾のよう。引き上げた樽を開けると、中より飛び出した閃光弾が空へと打ち上がったとのこと。


誰かにこの位置を知られてしまった、狙われるかもしれない、と話す仲間に、ハルは黙って手の動きを確認する。



『大丈夫、いける…。』

「………。」











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