光に導かれて | ナノ

01









『………。』


波に揺れるメリー号。大きな岩に腰かけ、"もう船ではない"と宣告された仲間を見つめる。



『……メリー。』


ぽつりと仲間の名前を呟く。蘇ってくるのは先ほど見た夢のこと。



『あれって…メリーの記憶、なのかな。』

その答えを知るものは存在しない。ハルはため息をつきながら、ゆっくり立ち上がった。






「ハルーーっ!!」


その声に振り向くと、メリー号へと走ってくるナミの姿。息を切らして必死な姿に、イヤな予感がし眉を寄せる。



「ウソップが…っ!!」

『……っ?』


涙ぐむナミの言葉にハルは目を見開いた。




















『…っ、ウソップ…。』


イノセンスを発動させ、屋根を軽々と飛び越えていくハル。ナミに教えてもらった通りの場所へと、向かうもなかなかたどり着かない。

これほどまでに自分の移動速度が遅いと思ったことはない。それほど、今のハルには余裕がなかった。




―――トン…



地図通りの場所に着いたにもかかわらず、ウソップの姿はない。




<ウソップが傷だらけで…っ!!お金目当てのフランキー一家にやられたみたいなのっ!!!>




水路横の道を歩いて行く。いくら進んでも見つからないウソップだが、彼のいたであろう場所は容易に見つかった。


『何…これ』



明らかに血溜まりの出来た一角。しかしそこに彼の姿はない。これだけの傷を負って、彼はどこに行ったというのか。


ハルはその場にしゃがみ込み、ナミの言葉を思い出す。




『お金をとったやつら…誰だっけ。』


辺りを見回し道行く人に声をかける。



『あの…何とかっていう最低最悪なクズ一家のアジト、どこにあるかわかります?』

「ふ、フランキー一家の…ことかね?」


冷たい空色の瞳にびくっと背筋を凍らす男性。黙って地図を突き出すハルに、彼もまた何も言わずに、震える腕で一点を指差した。



『ありがと、おじさん。』


それだけ言うと、一瞬にしてその場からいなくなる。残ったのは地面についた穴と、大きな血溜まりだけだった。











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