光に導かれて | ナノ

01









ロングリングロングランドを出航したメリー号は、春の陽気の中航海を続けていた。

『おいしーv』


頬を染め嬉々としてパイユを頬張るハル。となりで同じく食べるナミとはだいぶ量に差が見えるが、それも華奢な体にもかかわらずよく食べる彼女へのサンジからの配慮である。



「幸せだぁあーv」

「うるせぇな…。」

「んだと!?サボテン!!」

「うっせぇ、ダーツ眉毛!!」


喜びのあまり海へと叫ぶサンジに、ゾロが悪態をつき、いつものように言い争いが始まる。

『みんなー!』


ハルは気にすることなく甲板で遊んでいるチョッパーたちに声をかけた。

「あっ!何食べてんだ!?」

真っ先に反応を見せたのはチョッパーではなく、麦わら帽子をかぶった船長。腕を伸ばして柵にしがみつく。



『今日のおやつもおいしーよ!パイユだつて!』

「サンジー!おれにも食わせろよ!!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐルフィに、呆れながらもサンジは準備をする。

そんな彼、ルフィの姿はまるで健康のよう。いつも通りのルフィに、ハルも嬉しそうに微笑む。





―――キィ


扉が開く音に顔をあげれば甲板を見下ろすロビンの姿。一味は表情を和らげ久しぶりに顔を出した彼女へ声をかける。




「ロビン!体調はどうだ?」

「おかげさまで。優秀な船医さんのおかげね。」

「褒められたって嬉しかねぇぞ、このやろが!!」


チョッパーが嬉しそうに踊るなか、サンジはお腹が空いていないかを尋ねた。

「コーヒーをもらえるかしら?」

「はぁーいv喜んでぇーv」


走り出すサンジを見送り、ハルは嬉しそうにロビンへ駆け寄る。




『ロビン!顔色もよくなって平気そうだけど、まだ無理はしちゃだめだよ?』

「えぇ、わかってるわ。ありがとう、舞姫さん。」


微笑み返すロビンに少女はかくんと首を傾けた。

『ずっと思ってたんだけどさ…』

「何かしら?」

『ロビンって…っぅわ!?』



ハルの言葉を遮るかのように揺れるメリー号。突然の揺れは進路を変えたために起きたようだ。


「ちょっと!あんたたち!何勝手に進路変更してんのよ!?」

「ナミィ!聞いてくれ!カエルがクロールしてるんだ!!」

『カエルが…クロール?』


ルフィの意味のわからない訴えをナミが飲み込むはずもなく…。

「だからってねぇ…!」

「カエルの方向はどっちだ!?」


ナミの代わりに答えるロビンに、唯一まともな航海士はなにも言えなくなる。



『灯台?』

ハルの呟きに視線を移すと確かに灯台が見える。

「どうしてあんなとこに灯台が?」


次の瞬間、クロールをしていたカエルは飛び跳ね、何かを待ち受けるかのように立つ。



「よーし!カエルが止まったぞー!一気に追い詰めろ!!」




しかし


―――ガゴンッ



何かに乗り上げたメリー号。一味は今の衝撃によって甲板へと伏せる。

「何かに乗り上げたぞ?」




―――カーン…カーン…カーン…


「何?この音…」

『……っ』



その音の正体に気がついたハルはまさかと思いながらも素早く立ち上がると、仲間たちに向かって叫ぶ。


『列車とぶつかる!!』

「なっ…!?」

信じられない出来事に一味は目を見開くが、ナミは素早く指示をする。


「バック!バック!180度旋回!!」



慌ててオールを手にする一味。

何とか衝突はまぬがれたものの、あり得ない形の船に驚愕する。














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