02
その列車の前に立ちはだかるのは、さっきまでルフィたちが追いかけていたカエル。
『危ない…っ!!』
「何やってんだ!逃げろ!!」
ルフィたちの声は届かないのか、カエルはその場を動かない。そして、そのまま…
―――ガンッ
「あぁあーーー!引かれたー!!!」
カエルは海へと落下し、列車は止まることなく先へと進んで行ってしまった。
『………。』
突然のことに興奮冷めやらないなか、灯台の麓から子どもの声が聞こえる。
どうやら海賊船であるメリー号を見て、慌てたらしく海軍へと連絡を入れようとしている様子。
「めんどくせぇことになりそうだっ!」
ゾロが舌打ちをするなか、ハルは何も動きを見せない。ただカエルが飛んで行った先を、不思議そうに見つめていた。
子どもの声に呼ばれて出てきたのは、酔っ払ったおばさんだった。電話をするも要件を忘れてしまうほどの相手に、一味は緊張を解き話をすることにした。
『カエル、大丈夫かな…。』
「話聞いてなかったのかァ?あいつァ何度もあの海列車に喧嘩を売ってんだ。大丈夫に決まってんだろ。」
『けど怪我はするじゃん。』
むすっと頬を膨らませる少女に、ゾロは呆れたように笑うとぽんと頭を撫でる。もう避けるようなことはなくなった彼女に、つい笑みを浮かべてしまうのだった。
「その記録指針が指してる方向はウォーターセブンだれぃ。」
『ウォーター…セブン』
<綺麗だ、なんてうつつをぬかしてるとあっという間にやられちまうぞ。>
青雉の言葉を思い出す。
ぐっと拳を握りしめる彼女の様子に、ゾロは眉をしかめ頭に乗せた手を止める。
『うつつなんかぬかすもんか…。』
ココロから紹介状とW7での地図を受け取ったナミ。メリー号は再び指針の指す方向へと走り始めた。
『ココロさんって何者なんだろ…。』
「本当よね。あんな場所で泥酔して、おまけにW7一の船大工と知り合いだなんて!」
「これでメリーが治せるな!!」
嬉しそうに見上げるチョッパーにハルも微笑みながらうなずく。
ウソップと肩を組み踊り始めるチョッパーから、メインマストを伝って海賊旗へと視線を移した。
風にたなびく麦わらマークの海賊旗。すでに見慣れたそれに、ハルは何も言わずに目を閉じた。
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