01
「イー女になっちゃって〜。久しぶりだなァ、ニコ・ロビン」
目の前の男はロビンの知り合いのようだが、ハルは敵意を露にする。
『あんた誰。ロビンに近づくな…』
「おーおー…、随分嫌われちゃって〜。今日は散歩しに来ただけだから」
何者か、と騒ぐ仲間たちにロビンは小さな声で答えた。
「海軍本部…最高戦力、大将と呼ばれる…、その地位には現在三人しか…就いていない。彼は……青雉、…その大将のひとりよ…。」
「海軍だと!?」
「しかも最高戦力っ!!?」
「なんでこんな場所に大将が!?」
慌てる一味と怯えるロビン。そんな中、青雉は空色の瞳で睨み付けるハルを見下ろす。
「嬢ちゃんはあと数年したら化けるだろうね〜、楽しみにしとくよ」
『………何、こいつ』
話の噛み合わなさに眉をしかめるハルから、男はナミへと視線を移す。
「おっ、こっちにも悩殺ボインのネーチャン!今夜ヒマ?」
「「何なんだ!おまえは!!」」
思わず突っ込むサンジとウソップに、呆れたように頭をかいた。
「だから〜、おれは散歩に来ただけだって。」
『………』
「警戒心が強いねぇ、"桜花舞姫"。」
『…捕まえてみる?』
「おい、ハル!!?」
挑発するかのように微笑む少女に慌ててウソップが止めにはいる。
「"桜の花弁のように美しく舞う姫"…ねぇ。うまいあざ名だな、舞姫。」
『……』
「紅く光る身体、舞うような素早い動き…。何の実だ?」
青雉の問いに答えることはなく、黙ったまま見上げる。他の仲間もロビンを守るように構えていた。
―――ドサッ
「おれのモットーはだらけきった正義だ。今回は特に指令があったわけじゃない…、んな構えずいこうやァ。」
「何なんだ…こいつは」
突然寝転がる相手に驚くも、巻き込むわけにもいかないため今はトンジットのことを先に考えることにした。
ウソップの説明によれば、ここの島の名はロングリングロングランド。この島の付近に存在するいくつもの島と実は水面下で繋がっており、年に一度の大きな引き潮時に本来の姿を取り戻すという。
そしてトンジットはこのロングリングロングランドの数年に一度島から島へと移住する遊牧民。世界一長い竹馬に挑戦をしていて降りれなくなり、島を渡り損ね10年経っているらしい。
「ひとつの島ってことは記録(ログ)も意味ないってことね」
「今から追っかけてもいつになるか…」
『……』
頭を悩ませる一味にトンジットは微笑みながら言った。
「気長に待つさ、シェリーがわしを待っていてくれたように…。ありがとな、おまえら」
『おじさん…』
「おれが連れてってやる」
唐突に言い出した青雉にルフィたちは目を見開いた。出来るわけがない、と言い捨てる彼らに、ロビンは未だ座り込んだまま言う。
「彼なら…出来るわ」
『………』
ロビンの言葉に半信半疑な一味。しかしトンジットのためを想い、準備を始めるのだった。
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