02
『ほんとにどうにかできるの…』
「んあ?」
寝転がる青雉をじっと見下ろすハルは、半信半疑の瞳を向ける。
「ニコ・ロビンも言ってただろう?"彼なら出来る"って」
『………』
「で、お嬢ちゃんは何の実?それくらい教えてくれてもいいんでない?」
せかせかと準備をする仲間たちを一瞥すると、挑発的な笑みを浮かべ彼に背を向けた。
『そんなに知りたきゃあたしに"能力"使わせてみなよ。何か分かるかもよ?』
「こりゃあ、たまげたルーキーだな…」
アイマスクをずらし少女の背を見つめる。そんなことも放ってハルはトンジットやシェリーと、別れの言葉を交わしていた。
「ほいじゃ、ちょっと離れてな。」
ルフィたちが見守るなか、青雉は海面に手を入れる。深く深呼吸する彼を、ハルもまっすぐに視線を向けていた。
――ザバァアア-ン
「『……っ…!?』」
海中から現れた巨大な海王類。それは大きな口を開き、今にも青雉を飲み込もうとする。
ハルやルフィたちが一歩踏み出すと同時に辺りを冷気が覆った。
「氷河時代(アイスエイジ)…」
―――ピキピキッ
一瞬のうちに一面氷付けとなる海。もちろん海王類もすっかり凍ってしまっている。
「…1週間は持つ。4、5日歩けば島に着くだろう。」
青雉の能力に開いた口の塞がらない一味。
「何分道中は冷えるだろうから、温かくしていきなさいや。」
『………』
トンジットが仲間のもとへ行ける事実に喜ぶルフィたちだが、そんな彼らを眺める青雉にハルは手放しで喜べなかった。
「おー、寒ィ!!」
トンジットとシェリーを見送った一味は体を擦りながら、氷上から島へと上がってくる。
「…なんだ、どーしたハル」
じっと青雉を睨むように見続けるハルに、ルフィが首をかしげ尋ねた。
その視線に青雉はふっと笑いながら、淡々と言い放つ。
「やっぱおまえら、今死んどくか?」
「「「!!?」」」
『………』
「おまえ、さっきは何もしねぇって言ってたじゃねぇかよ!!」
ウソップが訴えるも青雉はむくっと起き上がり、その意思を変える様子はない。
「たった8人で総合賞金額(トータルバウンティ)3億超え。今はまだ政府はおまえらを軽視しているが、これまでのおまえらの成長速度は大したもんだ。その中でも一番危険視されているのは……ニコ・ロビン、おまえだよ。」
ぐっとうつむくロビンを前に、青雉は地面の草の葉をいくらかむしりとる。
「オハラの生き残りであり、古代兵器を動かせる力のあるおまえだ。」
草を宙へ投げるとそれに自分の息を吹き掛けた。するとそれを芯に凍りつき、氷のサーベルが出来る。
「アイスサーベル…」
氷のサーベルをロビンへ向けて振り上げる青雉。すかさずロビンの横を通り抜けた二つの影。
ロビンへと振り下ろされたそれを剣で受け止めるゾロと、その隙にサーベルを蹴り飛ばすサンジ。
しかしゾロの肘、サンジの膝を掴む青雉は、一瞬のうちに彼らのその部位を凍らしてしまった。
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