01
『ルフィ…急がないと』
「待てって……っ、よし!捕まえたぞ!!」
『………はぁ』
ベラミー一味から金塊を取り戻したハルは早く仲間のもとへと思っているが、船長の足止めをくらっていた。
「見ろっ!ヘラクレスだぞ!!」
『わかったから…、行こ』
金塊をずるずると引きずりながら歩き出すハルはもう呆れて何も言えない。ルフィはヘラクレスを片手にひょいとハルの手から金塊の入った袋を取り、海沿いを走り始める。
『ちょ…っ、ルフィ!』
「走るぞ!!」
歯を見せてニシシと笑うルフィにため息を溢したあと、ルフィのちょっとした優しさにくすっと微笑んだ。
「あんたたち何やってたのよ!!海流に間に合わなかったらもともこもないのよ!?」
「見ろよ!ヘラクレス!!」
怒るナミに構わず先ほど手に入れたヘラクレスを自慢するルフィに、怒りの鉄拳が落ちる。
『うわー…、メリーがにわとりになった……』
「猿山連合軍が作ってくれたんだ!ゴーイング・メリー号"フライングモデル"だ!!」
こちらでは改良し終えたメリー号に目を輝かせるハルに自慢気に語るウソップ。わいわいと騒がしい猿山連合軍にハルが礼を言う。
ルフィとハルのせいで出来た遅れを取り戻すために、一味は急いでメリー号へと乗り込む。ルフィがクリケットに金塊を渡し最後に乗り込むと、マシラとショウジョウの案内でメリー号は動き出した。
『栗頭のおじさん!!』
「……なんだァ」
『無理な潜り方、しちゃだめだよ!』
「………ハッ…小娘が!」
タバコをくわえ笑うクリケットにハルは満足げに微笑み手を振った。目指すは突き上げる海流(ノックアップストリーム)。
サウスバードに従い真南に向かう三隻の目の前に深く大きな雲が広がる。
「予定より早い…っ、おれたちが渦の真ん中まで連れてくからあとは自分達で何とかしろ!」
「何とかって…」
「渦に飛び込むなんて聞いてないわよ!?」
『空島かー…』
徐々に近づく渦の中心部。猿山連合軍は安全のため、もう遠くに離れていた。メリー号の甲板ではまだ心の準備をしきれていない二人がぎゃあぎゃあと騒ぐ。
―――シーン…
「え……?」
「消えた!?何が起きた?」
「あれだけのおお渦が一瞬で!?」
渦潮に呑み込まれたはずのメリー号は静かに海に着いている。思いがけない結果に一味は息をのむが、海底の異変に気づいたナミが言った。
「違う…っ!始まってるのよ、もう!!」
「……え?」
「渦は海底からかき消されただけ…」
「ま…、まさか……」
しかしそこへ、来るであろう衝撃に構えようとする一味を呼び止める声が響いた。
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