02
声の方を見ると一艘の筏船に乗った数人の男たちの姿。
「追いついたぜェ!麦わらのルフィ!!」
そう声をあげるのはモックタウンで会った大男で、りんごの弱々しい男や世界チャンピオンも乗っていた。
「てめぇの1億の首もらいに来たァ!観念しろォ!!」
「俺の首?1億ってなんだ?」
「やはり知らねぇのかァ!おめぇの首には1億ベリーの賞金がかかってんだよ。そして"海賊狩りのゾロ"!てめぇには6000万だ!!」
大男の言葉に不満だの笑いながら話すルフィとゾロ。大男が見せる手配書をゴーグルで見るウソップにサンジは自分の手配書を探すよう訴える。
「ん…もう一枚あるぞ!」
「それだァ!!」
自分の手配書だと歓喜の声をあげるサンジだが、その思いは見事に打ち砕かれた。目を見開くウソップは見えた物をそのままクルーに伝える。
「……ハルの…手配書、……い…1億…3000万…」
「なっ…」
「ハルが賞金首!?」
「しかも1億3000万!?」
<この嬢ちゃんが…、1億3000万?>
『あれ…あたしの賞金額だったんだ』
暢気に呟くハルに大男が叫ぶ。
「"桜花舞姫ハル"!!てめぇの首もいただくぜ!」
『……賞金首かー。なんか海賊みたい…』
「いやいや、おまえは海賊なんだよ!!」
「すげぇぞ!ハル!!」
「あっはっはっ!!ハルに負けちまったかァ〜」
「なんでハルがそんな高額なのよ!?」
「…能力のせいね」
「ハルちゃんは自然(ロギア)系にもダメージを与えることが出来る…」
「…妥当な額だろ」
大男の話をスルーし会話する一味。ショウジョウが緊張感のない彼らにはらはらするなか、マシラが声をかけた。
「来るぞっ!突き上げる海流!!覚悟しろォ…っ」
「…っ、全員船体にしがみつくか船内へ!!」
―――ドッガアァア
大きな音と共に海が空へとまっすぐに伸びる。その衝撃で大男たちの筏船はバラバラに崩れた。その地響きはジャヤに残ったクリケットのもとまで響く。
「「行けよ!空島!!」」
マシラとショウジョウの言葉を最後にメリー号は突き上げる海流に乗って空へと打ち上げられた。
「行けー!メリー!!」
『メリーが…飛んでる』
目を輝かせるハルを横目にサンジが呟く。
「そう上手い話じゃねぇみてぇだぜ…」
「船体が水柱から離れる…っ!?」
終いには空から下で渦潮に呑み込まれていた海王類が落ちてきて、ウソップやチョッパーがぎゃあぎゃあ騒ぎ出した。
『…わ……っ』
船体に掴まっていたハルだが気を抜いた瞬間手を滑らせメインマストへとぶつかりそうになる。
『………あれ?』
「おまえは毎度のことながら…、しっかり掴まってろ……」
ハルはいつの間にかゾロの腕の中におり、しっかりと肩に手を回されていた。
『………』
いつもながらの上から目線にむっとするハルだが、ここから落ちることを考えるととんでもないため素直にゾロの腰に掴まる。
「ちょ…っ、おい!?」
『何?』
思いもよらない行動に顔を赤らめ動揺するゾロにハルは何食わぬ顔で問う。動揺するのが自分だけだと気づくと、何とか歯を食いしばりきょとんとするハルを抱き止めた。
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