01
「試合終了〜!!」
ボールマンであるビッグパンがゴールリングへ入ったことで、麦わら海賊団の勝利が確定した。
沸き上がる歓声はあっという間の試合にも関わらず、まだまだ止む気配はない。
「ハルやるじゃない!」
『だってあいつらあたしが女で子どもだからって、馬鹿にしすぎなんだもん!むかつくよ!』
「あんたって意外と子どもよね…」
傷ひとつ負うこともなかった少女に対して、フォクシー海賊団はガヤガヤと騒ぎ始める。
「やっぱり1億3000万はだてじゃねぇな…」
「…グロッキーモンスターズが弱く感じたな」
「あの能力は何の実だ?」
まだまだ余韻に浸る敵一味。しかしハルは彼らの前へ立ちはだかり、どや顔で言ってのけた。
『早くチョッパー返せ、割れ頭海賊団!』
「わ…、割れ…頭っ」
「オヤビン!!」
ハルの要求にもちろんルフィは同意し、チョッパーはマスクを投げ捨てながらステージからハルの胸へと飛び込んだ。
「ハル〜っ!!」
『チョッパー!よかった…。ごめんね、怖かったっしょ?』
眉を下げながら申し訳なさそうに謝るハルの腕の中で、チョッパーはふるふると頭を左右に動かす。
思わぬ反応に首をかしげれば、彼はぐっと涙をこらえながら言った。
「男は勝負を黙って見届けるんだ!男だから泣かねぇぞ!怖くもなかった…っ!」
強がるチョッパーの言葉にハルは、ふわりと笑って彼を抱きしめたのだった。
第三ゲーム、コンバット
フォクシー海賊団
船長・フォクシー
麦わら海賊団
船長・ルフィ
『ねぇ…』
「どうしたの?」
第三ゲームの会場となるセクシーフォクシー号を見ながら、ハルがポップコーンを頬張る。
『このゲームやる必要ある?』
「ないわ」
『…割れ頭海賊団の船員なんて誰もいらなくない?』
すると近くに座っていた敵一味が立ち上がり、ハルを指差し訴えた。
「オヤビンを馬鹿にするなよ!」
「オヤビンはこれまでコンバット920戦無敗の記録を持ってるんだ!」
「必ず勝って舞姫ちゃんを手に入れてやる!!」
さして気にするようすもなく、彼らの言葉をさらっと聞き流す。それでも依然としてぎゃあぎゃあ騒ぐ敵一味。
ハルはだんっと大きな音をたて、その場に立ち上がった。その表情は怒りを含んだものではなく、第三ゲーム目の余裕にへらっと笑みを浮かべたもので。
『あんたらの言いたいことはわかったから黙って観てなよ。もしね、もしルフィが割れ頭なんかに敗けたら、潔く割れ頭海賊団に入ってあげる。』
平然と言ってのけたそれに彼らは喜びの声をあげ、ナミやゾロが頭を抱える。
「あんた何勝手に決めてんのよ!」
「あいつが敗けねぇにしろ、こいつらの士気を上げてどうすんだ…」
『…あたしこいつら嫌いなんだよね』
むすっとそっぽを向き、そう呟くハルに二人は続きを待つが、準備が整ったのかイトミミズの声で一気に歓声がひどくなった。
prev |
next