光に導かれて | ナノ

01

 








『……ん…』


ハルが目を覚ますと隣に立つロビンやウソップが傾く巨大豆蔓(ジャイアントジャック)を見上げていた。

側にはチョッパーとサンジが自身と同じように寝かされている。



「ハル!目ェ覚めたのか!」

「ハル〜!!」

『何してんの…?』


いち早く気づいたウソップの声に、アイサがハルへと勢いよく抱きついた。なんとか受け止めるも、状況がいまいち把握出来ない。

『ウソップ、起きて平気なの?ロビンも変な騎士も…ゲリラも、いつの間に…。』


次々と疑問を口にするハルに、ウソップやロビンが説明してくれる。

「おれは平気だ。サンジが寝てんのはさっきエネルの船へナミを助けに行ったとき、やつの能力にやられたからだ。」

「私たちも平気よ。航海士さんなら船長さんと一緒よ。」



落雷が辺りを襲うなか、ハルはよろっと立ち上がった。


「ハル!ワイパーが…っ」

『…どうしたの』

アイサは巨大豆蔓の根元を心配そうに見つめる。



「さっきこの巨大豆蔓を倒すために、剣士さんと彼が下層へ落ちたの。」

ロビンの言葉にやっと事態を把握する。落雷が激しい巨大豆蔓の付近。ハルはその場を駆け出した。


「ハル!?」

「どこ行くんだよ!?」

アイサとウソップの声に答えることなく、イノセンスを発動させ落雷を避けながら巨大豆蔓の根元へまっすぐに向かう。




『ゾローっ!!』

下層へと飛び降りれば、真っ先に視界に入るのは気絶した大蛇。遺跡に足をつけると、足元を絡ませながら駆け回る。



『ゾロ…、…っ…ゲリラ?』

ふらりと立ち上がる影はゾロではなく、ワイパーでハルに気がつくことなく空を見上げていた。


「無駄だ、エネル」

『……え?』

「おまえには落とせやしない…。シャンドラの地に生きた、誇り高き戦士たちの歴史を。この雄大な地を、おまえは落とせやしない…っ!」

立ち尽くすハルは、同じように上を見上げる。上層の雲を打ち砕く落雷に、徐々に頭上の視界が広くなった。



「おまえがどれだけの森を焼こうと、どれだけの遺跡を破壊しようと…、……大地は負けないっ!!」

『………』


ふっと笑うと側に倒れていたゾロを抱える。

『大丈夫。あんたの言うとおり、これっぽっちの落雷で大地は負けない。』

「…女、目が覚めたのか」

『この蔓、倒すの…手伝ってくれたんだってね。アイサが心配してたよ…』



ワイパーはゆっくりと視線をハルへと移した。


「おまえは心配じゃないのか…」

『…何が?』

「今最も危険な場所にいるのは、おまえの仲間だろう…」



遥か頭上に浮かぶ巨大な雷雲。ハルは黙ったまま見上げていたが、何かに気づくとへらっと笑った。


『ルフィのこと、信じてるから』




途端、空を覆っていた雷雲は晴れ、辺りを襲っていた落雷も止まる。


『栗頭のおじさんに、聞こえるかな…』

「……おまえら…」



空に浮かぶ金色の塊が、勢いよくエネルの乗る方舟へ向かう。

「…ハル」

『ゾロ…。おじさんに、届くかな…?』


目を覚ましたゾロの声に、ハルは空を見上げたまま呟いた。




―――ゴォオオーン…ゴォオオーン









 

prev | next



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -