02
『きれいな…鐘の音。』
ゾロを側の遺跡へすがらせながら、頬を緩める。ワイパーもじっと上を見上げ拳を握っていた。
「聞いているか…、モンブラン・ノーランド。随分待たせた…っ!あんたの子孫に…届くといいが…」
『……届くよ…ね?』
「ああ。」
ゾロは笑みを浮かべ少女の頭を優しく撫でた。
「
おれたちは、ここにいる!」
「結局あれか?黄金の鐘も、エネルの金ぴか船も」
「あ〜、落ちたんじゃねぇかァ?」
上層から降りてきたウソップたちと合流し、チョッパーがあの後倒れたワイパーを診る。
「黄金郷とは言うが、今は名ばかりか…」
肩を落とすサンジだが、そこまで落胆しているようではなかった。
「おれたちの貧乏航海は続くわけだ」
「おれは金よりあの貝(ダイヤル)がいいな!青海に戻ったら手に入らねぇしっ!」
穏やかに話すウソップたちの元に、ワイパーの治療を終えたチョッパーが駆け寄ってきた。
「次は誰だ?」
「ハル、診てもらえ」
『…あたしは、大丈……』
「……ハル?」
言葉を止めるハルにチョッパーがかくんと首をかしげる。彼女の視線は傷だらけのゾロに向いていた。
途端口許を緩め、くすっと笑うと素直にチョッパーと向き合う。
『診てもらおっかな…』
「おう!」
張り切るチョッパーを横目に、他の仲間たちは何事かと驚く。
「あのハルが素直に治療を受けてやがる!」
「いいことなんだが…、何だ?この違和感」
「貴方たちったら…ふふっ」
ウソップとサンジの言葉にロビンが笑っていると、船長の陽気な声が聞こえてきた。一緒に走ってくるのはナミと、メリー号と共にいたコニス。ルフィは巨大な袋を引きずりながら走っていた。
「皆さん…っ、無事でよかった〜!私心配で…、でも何もできなくて…っ」
顔を覆い泣くコニスにサンジは喜び踊る。
『な…ナミ、あのね…』
「ハル!目が覚めたのね!」
『…へ?』
いつものようにがばっと抱き着くナミに、何度も瞬きを繰り返す。
「あんたってやつは、本当に。無茶ばかりするんだから!」
『ご、ごめ…』
「いいわ!無事だったら何でも!」
にっと笑うナミに空色の瞳をまるくした。
「ハル、あたしたちは海賊だもん!傷ついたり倒れたりするわ。あんたがあの時、何の夢を見たかは知らないけど、結果的にあんたたちがこうして無事なら、あたしは大丈夫!信じてるもの!」
『…………うん』
細められる瞳。ナミの笑顔につられるように、ハルは表情は綻んだ。
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