01
『この大蛇…しぶとい』
ワイパーが撃ち続ける熱焼砲(バーンバズーカ)にももろともせず、暴れる大蛇にさすがのハルも距離をとる。
『早くナミを…っ』
「ハル!!」
『?……ゾロ!』
オームに捕まっていたゾロが大蛇に向かって飛び出した。が、やはり大蛇の鱗は硬く簡単には斬れはしない。
『ゾロ!変なサングラスの神官は?』
「今やってきた!おまえが神兵を倒したおかげで、残ったのはおれとハル、あのゲリラとこの大蛇だけだ」
『そっか』と納得するハルに目をやれば、彼女の両手足は未だ紅い光をまとっていなかった。
「おまえ…、どうやって戦ってたんだ?」
『え…?普通に…』
当たり前のように答えるハルに目を見開くと、けろっとした彼女に一喝する。
「相手がザコだろうが手ェ抜くな!もしもの時のこと考えろ!!」
『なっ…、ゾロがあんまり使うなって言ったくせに!!』
「何だと!?」
言い争う二人だったが、突如崩れる地盤にバランスを崩す。
『何!?』
「落ちる!?」
崩れる島雲。重力によってハルやゾロ、ワイパーや大蛇はもちろん、石造りの建物も支えを失い、共々下層へと落ちていく。
『……っ…!?』
「おい!ハル!」
何かに気づいたハルは一瞬でイノセンスを発動させ宙を蹴った。
『なんで…、……チョッパー!!』
瓦礫に混じって落ち行くは傷だらけのチョッパー。ハルは意識のない彼を抱くと、とりあえずほっと息をつく。
「ハル!!」
『何ー?』
いつの間にか彼女の両手足に紅い光はなくなり、重力に任せて下層へ落ちていっていた。
何とかハルを掴もうとするゾロに見かねて素直に手を伸ばせば、力任せにチョッパー共々引っ張られ、ごつごつした腕の中に閉じ込められる。
―――ゴオォオオン
大きな音を立てて落ちる瓦礫。ここ、下層までけっこうな距離があったため、余程でなければ無事ではないはずだが…。
「だぁあ!!殺す気かァ!!」
「ええ。死ぬはずよ、普通はね」
瓦礫の下から出てきたゾロに冷静にツッコんだのは、何故か下層にいたロビンだ。ゾロの腕はチョッパーを抱いたハルをしっかりと抱きしめている。
『ロビン!ねぇ、チョッパーが…っ、どうしよう!?』
「落ち着けって…!」
腕の中でばたばたと暴れるハルを何とか静めようとするが、動かないチョッパーに今の彼女は平静ではいられなかった。
『だってチョッパーが…っ!!』
「……っ…!?」
見上げる空色の瞳は潤み、今にもこぼれ出しそうな涙を浮かべる。見慣れぬ表情に思わずぎょっとするゾロを見て、ロビンはくすっと微笑みながら告げた。
「大丈夫よ、舞姫さん。船医さんは気を失ってるだけ、出血も止まってるみたいだし安心して?」
『ほ、ほんと!?』
「ええ」
ロビンの言葉にほっとするハルを見て、ゾロはくしゃっと頭を撫でる。
「ここは…?」
「お探しの黄金都市よ」
『…ここが黄金都市?どこが黄金?』
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