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『…私が、任務ですか?』




突然の呼び出しに何かと思えば、コムイさんはにっこりと微笑みながら告げた。


『私、闘えませんよ!?』

「はははっ、任務と言ってもAKUMAを相手にはさせないよ。ハルちゃんを危険な目に合わせるわけないじゃないv」



コムイさんの説明によれば、ある資料をブックマンさんの所へ届けるという仕事のよう。


「そこまで遠い場所でもないし、気晴らしがてら行って来てくれるかな?」

『気晴らしなんて…っ、私は十分させてもらってますよ?』

「いいんだよvハルちゃんにはしっかり外を満喫してもらいたいんだ。君はあの町からあまり出たことはなかっただろう?」



コムイさんの言葉通り、確かに私はおばさんと過ごしたあの町から出たことなんてなかった。けど私ばかり気を使ってもらって、申し訳ない気持ちになる。




















『……すみません。いってきますね…』



しゅんとして部屋を出ていくハルちゃんを呼び止める。

「気をつけてね」

『はい…』

ハルちゃんは資料をしっかりと手にして部屋を出た。

ふわふわしてるから少し不安だなぁ。



もちろんあの子が無事に資料を届けられないなんて思っちゃいない。僕が心配してるのは誘拐されちゃわないかってこと。

みんなは大袈裟だって笑うかもしれないけど、ハルちゃんは可愛いから何かあってもおかしくないじゃないか。


第一ブックマンもラビのわがままを聞くなんて珍しい。いつもなら一蹴りして終わりなのに、今回に限って「ハル嬢に持ってこさせろ」なんて。



「やっぱり言っておくか…」


念を入れて僕は彼のゴーレムに連絡を入れるのだった。

























列車に乗るのは二回目だから…


『よくわかんない…。』



辺りをきょろきょろ見回すとここのホームが仕事場なのか、きちっとした服を着て人を誘導する人を見かけた。


『あ…あ、あの…』

「どうしたんだい?」

『い…いき方…が、わから…くて』



ゆっくり顔を上げながら伝えるとバッチリ目があってしまった。ぐっと息を呑む私を見て、男の人が顔を赤くしたように見えたけど気のせいかもしれない。


「ど、どこまで行きたいんだい?」

『ここ…まで』

吃りながら尋ねてくれた彼にばっと行き先の書いてある地図を差し出す。すると彼はわざわざ切符を買ってくれ、列車に乗り込むまで送ってくれた。


初対面なのにとても親切にしてくれた駅員さん。窓の外で手を振る彼に出だしからぽかぽかした気分で出発できた。





幾つかの駅に停まり、何人もの人々が乗り降りを繰り返す。改めてそれを眺めていると、再び列車は動き始めた。


『降りる駅は次の次の次…だよね』



席に座って指を折り数える私に影がかかる。四人掛けの席だから誰かが座るのかと思い、荷物を避けた。地図を閉じてショルダーバッグに入れ『よし』と呟くと、誰かに頭を叩かれる。


『ぅえっ!?』



思わず漏れた声に口を抑えながらも、叩いた本人であろう目の前に座る相手に視線を向けた。









 



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