01
「うわあー!店がいっぱいだっっ!」
一行は新たな町へと到着した。そこには多くの人々が騒がしく町を往き来している。
「こんなににぎやかな町は久しぶりだな。」
「ああ。」
「妖怪の影響をあまり受けてないんでしょうね。」
あたりを見回す大人組に対して……。
『肉まーん!!』
「おっ、これうまそう!」
「三蔵!!あれ食いたい!」
「却下。」
道に並ぶ屋台をきょろきょろとせわしく見て回る子供組。
「何でだよッ!イジワル坊主!!タレ目!ハゲ!」
「聞こえんな。誰がハゲだ。」
びーびー泣きわめく悟空に一喝する三蔵はまるで親のよう。
「まぁまぁ…いいんじゃないですか?肉まんくらい。」
「甘やかすと悪い癖がつくぞ、八戒。」
悟空をあやす八戒の言葉も一蹴り。そんな彼の肩をぽんっと叩くのは感心した様子の悟浄。
「めっきり主婦だねェ。」
「死ぬか?」
『言わなくてよかったね…。』
「いや、おまえが欲しいって言ったらまた違うと思うけどな。」
こそこそと話す双子。そんな二人に怪しげな声がかかる。
「もしもし…そこのお二人さん。」
「……」
『ん?』
振り向けば麻雀の点棒を咥えた怪しげな易者が、笑みを浮かべながら二人を見ていた。
「旅の人でしょ?この清一色(チンイーソー)が旅路の先行きを占ってあげますよ。」
『うらな…?』
「何言ってんの、こいつ。」
二人の世界では占いというものはないため、彼の言葉にきょとんとする。彼の方へ一歩踏み出そうとしたハルだが、頭をぐっと掴まれ引き戻された。
「悪ィな。興味ねぇよ、占いなんて。」
『悟浄…。』
「第一、麻雀の役を通り名にしてる易者なんざ信用度低いな。」
「麻雀の役なのか…?」
悟浄と三蔵に引き戻される双子は、何が何やらわからない。
「そっけないなぁ…。ま、いいや。教えてあげましょう。死相が出てますよ、皆さん。クククク…怖いですねぇ。」
「……何、こいつ。」
『ヤな奴…。』
「死に近いところに生きてるでしょう?我にはわかる。特に……そう、貴方だ。」