02
「あッてめェ!それ俺が取っといたスブタじゃねーかよ!!かえせッ」
「るせーな、イジ汚ーぞ猿!草でも食ってな」
『ちょっ…お皿に取ってたピラフがなくなってんだけど!』
「それは俺じゃねぇよ!!」
「俺、さっき悟浄が食ってたの見た」
「リク!!てめェ…ッ」
『悟浄!!』
「ぎゃはははっ」
―――スパパパンッ
「静かに食え!静かに!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ四人の頭をどこからか取り出したハリセンで素早く叩く三蔵。
「すみませーん、お茶おかわり」
気にすることなく声をあげる八戒。全員あくまでマイペースで自由人だ。そんな彼らを見て可笑しそうにクスッと笑う女、朋茗の肩にポンと手が乗せられる。
「お客さん達!朋茗を助けてくれた礼だ、どんどん食ってくれ」
「お父さん」
「恩にきますv」
八戒と三蔵以外はご飯に夢中で彼に大した反応を示さない。
「ところでお客さん達東から来たんだってネ」
「ああ…そうだが」
「へぇ、珍しいなあ」
『なんでさ?』
箸をくわえたまま首をかしげるハルをみてクスッと笑いながら答えてくれる。
「東の砂漠は物騒であんまり人間は通らないの!特に最近すっごく狂暴な六人組の妖怪が出没するってウワサで…彼らの通った跡には妖怪の屍の山ができるって……同種争いで人間には被害ないみたいだけど」
「『へぇー』」
もぐもぐと口を動かしながら声をあげる双子の息はぴったりだ。それに感心しながらも朋茗は思い出したように短く声をあげる。
「そういえばその六人組のうち二人は珍しい種の妖怪みたいで変わった術を使うって聞きました」
「どんなのだろうね」と訊ねてくる朋茗に双子はそろって首をかしげた。しかし空気の読めない男が肉まんを頬張りながら一言。
「まるで俺らのことみた――」
――ガゴッ
「ああスマン、今お前の頭にハエがいたんだ」
「……」
「惜しーな」
「『逃げられたみたいだねぇ』」
「気にしないで下さいねv」
頭を悟浄に押され顔面からテーブルに突っ伏す悟空。
ぼそっと呟く三蔵と悟空の手にあった肉まんを奪い頬張り平然と話す双子。不思議そうにする朋茗にすかさず八戒がフォローに入る。なかなかのコンビネーションだ。