なつめ、由希、夾、透の四人は湖まで散歩することに。





…………しーん









…重くない?


どこか空気が暗くいつもの感じじゃないことをかぎとったなつめは意を決して声をかける。




『……ねぇ』


なつめの声に立ち止まる三人。



『せっかく…来たのになんかヤ……』

「「え…?」」

「…なつめさん」

『あたしはヤなことあったらこうやって言うよ……だからさ…二人も……ヤなら言ってよ…』


寂しそうにうつむくなつめにやっと焦り出す二人と微笑む透。



『このままはヤだよ…何かしたかな?あたしバカだからわかんないよ…』


「なつめ?ちょっと…ちょっと待って…?」

「な…なんだよ、何訳わかんねぇこと言って…」



――ぐりっ


「Σうおっ!?」

ぬかるみに足を滑らせる夾に透が驚き声をかける。地面を見ると謎(?)の足跡。それを見た三人は一斉に声をあげる。



『Σジェイソンだ!』「Σじぇいそんか!」

「ジェイソンです!」

「熊だってば……ι」


冷静に突っ込む由希の言葉も届かない透は一人ばたばたと暴れだす。




―――ずるっ


『…っ透君!』

「あ。」
























その頃編集者苛めをはとりに制された紫呉はつまらないと連呼する。そんな彼にため息をつくはとり。

「俺だってつまらん」

「はーさんはつまらなくなくってよっ!僕推薦の書物をたくさん持ってきたから」


「久しぶりにゆっくり読書を楽しんでよっ」と言いながらドサッと音のするほど多量の洋書を机に置く。



「………!」

彼女――佳菜の結婚式があったため気を遣っているのかもしれないと気づいたはとりは静かに微笑む。


「紫呉…」

「はい?」

はとりの呼ぶ声ににこにこしながら返事をする。



「――…いや…ゆっくり本が読めるのは久しぶりだよ」

その言葉に紫呉は嬉しそうに微笑む。


「……なつめちゃん達は仲良くやってるかねぇ…」

「なつめが一緒なら大丈夫……だろう…」




























「すいません、すいません、すいません〜〜っっ」


あのまま滑り落ちてしまった四人。由希と夾はつい抱きしめて助けてしまったため鼠と猫へと姿を変えていた。

透の安否を心配する由希と呆れる夾。突っかかる由希に怒鳴り返す夾。

………あっという間に口喧嘩へと発展した。ぎゃあぎゃあ言い争う二人を眺めるなつめと透は目を見合わせるとどちらともなく笑いだす。



『…け…けんかしちゃ…だめっ…あははっ』

「あはははっ…すみません」


きょとんと二人を交互に見る鼠と猫。

『いつものゆんちゃんと夾ちゃんだぁ』

「なんだかホッとしました」


依然としてけらけらと笑うなつめと涙を拭う透に茫然とする彼ら。







 


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