―――ピピピッピピピッ
午前5時
夾の部屋では目覚まし時計が鳴り響く。
「…………ん…」
寝起きの良い彼はすっと目を開ける。
が………ι
「まだ寝る…」
そう言いながら抱き着いてきたのは何故か同じ布団で寝ていた綾女だった。
「ぶち殺すっ!!!」
「致し方ない行動なのだよっ」
夾に殴られぼろぼろの綾女は朝食を食べながら言い訳(?)をする。由希が部屋に入れてくれないと嘆く綾女に「紫呉の部屋で寝ろっ!」と怒鳴る夾。そこから紫呉と綾女は大人の会話をし出す。
「大体おめぇいつまでここに居るつもりだっっ」
「はっはっはっ案ずる事はない。」
『…ん?』
豪快に笑う彼の腕はきょとんとしたなつめの肩へ回った。
「今夜はなつめの部屋に泊まるからねっ」
途端由希と夾がぎゃあぎゃあと怒鳴り始めたのは言うまでもない。
「おや、えらいね君達」
4人で家へと帰ると当たり前のように寛ぐ綾女が居た。
「学校からまっすぐ家に帰ってくるとはそんなにボクとお話したいのかい?ボクとしてはまた透君と二人きりになりたいけどねっ」
おかえりーと笑顔を向ける紫呉になつめはにこぉと笑い返す。
『ただいまぁ』
「むっ!やはりなつめは可愛いねっ!ボクは"ただいま"ではなく君に"おかえり"と言ってもらいたいねっ」
『…おかえり』
「あぁ、ただいま!なつめ」
「言わなくていいから…」
思わず乗ってしまうなつめに呆れながらも突っ込む由希。透はふと机を除き込んだ。
「何を見てらしたのですか?」
透の問いに彼らの視線は自然に机上に向けられる。
「ボクらの若き高校時代のアルバムさっ」
そこにはまだ幼い紫呉とはとり、そして由希にそっくりな綾女の姿があった。
『うわぁ…ゆんちゃんにそっくり』
小さく呟くと綾女はそっと微笑む。
「ピチピチでしょー?」
とふざける紫呉に透はすぐに肯定する。
「このころの僕ならなつめちゃんは僕を見てくれた〜?」
「「『………は?』」」
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