「なつめさんと夾君とうおちゃんも入学式に出席なさればよろしかったのに…」
「「『めんどい。』」」
今日は入学式。
普通に参加した透や咲が教室に帰ると"モゲ太"を読むなつめと夾、マスクをして花粉に苦しむありさの姿があった。由希は入学式の運営委員のためここにはいない。
透たちの間で草摩の新入生の話になると咲とありさがじっと夾を見る。
「ここに連れてこいよ、キョン」
「そうね…連れてきて。」
「ばっ!!なんで俺が…っ」
あたりまえのように声をあげる夾を見て立ち上がるなつめ。
『あたし行くよ!春と紅葉にも会いたいし』
にっと笑うなつめを見て咲が夾の肩にぽんっと手を置く。
「どうしてなつめがわざわざそんな七面倒くさい事をしなくてはいけないのかしら…?」
咲の剣幕に押される夾だがなかなか折れない。
『花ちゃん、あたしはかまわないよ!でも折角だし一緒行こうよ』
「学校来てまで会うことねぇよ…」
ぶすっとはぶてる夾になつめは首を傾げるが『ならいいけど…』と教室を出ていった。
「あらなつめ一人でいかせていいのかしら?」
「だよな〜!高一の男子はみんな真っ盛りだしな〜、キョン?」
「………っ…」
あわてて立ち上がった夾は急いでなつめを追いかけた。
「ほんと好きだな〜アイツ」
「でもなつめは渡さなくってよ…」
「あはは…ι」
「草摩って名字の頭白いのと金髪の二人組わかるか?」
「はっはい…同じクラス…///」
「呼んでこい」
「はい!!///」
クラスを知らなかったためなつめを廊下で待たせた夾が、一年に声をかけると彼女たちは嬉しそうに呼びに行った。
そこへ…
「ねっねっみてみてアレ///」
「あそこの女子可愛いくね//」
「やべっ…ちょー可愛い///」
夾はまさかと思い、耳を立てる。
「髪の色ヤンキーっぽいけど顔童顔で可愛すぎ…///」
「声かけてみっ…」
――――ダンッ
『へ?』
ぽーっとしていたなつめの頭上に夾が手をついた。
『何?夾ちゃん』
きょとんと見上げるなつめにさらに可愛いと騒ぎ出す男子たち。夾がぎろりと彼らを見ると一瞬固まってやっとどこかへ走って行った。
『どうしたの?』
「おまえまじやばい…///」
『は?』
「なつめ、俺の前以外で笑うの禁止…」
言った瞬間顔を紅潮させるのは夾でなつめはというと『んー…努力する』と素直に答えるが、さらに夾へとどめの一撃。
『ならずっと一緒にいよーよ。』
「なっ…!?」
…夾の思考はあまりの衝撃で停止した。
← :
→