「おぉーい、お風呂あいたよォ」


タオルを頭にかけた紫呉が由希に入ればと声をかけるが入らないと答える由希。



「うっそォ!入らないのォ?ふっけつぅ〜っ」

「(いっぺん屋根から吊るしたい…)そうじゃなくて…少し風邪気味なんだよ…」


由希の言葉に慌てるのは透で由希の額に手をあてる。



「少し微熱っぽいです…」

「風邪はひき始めが肝心だよ〜薬飲んで早めに寝なさい」

薬を探す紫呉がいつもと違い保護者のようなことを言う。


「明日は学校お休みした方がよいのではないですか?」

と提案する透に大丈夫だと答える由希に後ろから抱きつくのはもちろんなつめ。



『ゆんちゃんの後ろ簡単にとれるなんてぇ。』

「…っ…なつめ…///」

由希の肩にはなつめの頭が乗っていて『なんかゆんちゃん温かいね』と呑気なことを言っていた。


「やはり休んだ方が…明日は持久走がありますし」

「…持」

若者は大変だね〜と呟く紫呉の声に重なってなんとなく燃えるような声が聞こえた。


「久走だとォ…?」

そこには真冬だというのにも関わらずタンクトップ姿の夾が立っていた。


『あーあ…ヤな予感…』

由希から離れて机に突っ伏すなつめは呆れたようにそう呟く。



「明日そんなもんがあるのか!?」


体育でもかなり走らされていたにもかかわらず、夾はさも今初めて聞いたかのような反応を示す。

「持久走…マラソン……大勢で走るもの…つまりは」


由希も察したのかあからさまに嫌な表情を浮かべる。



「勝負事か…!!」


楽しそうに燃える夾は勝負だっと由希に喧嘩を売る。もちろん透が風邪気味だからと止めに入るが、夾にとっては日々の鍛練不足なだけであって知ったこっちゃないようだ。

嬉しそうに部屋を後にする夾を見送って紫呉は由希に声をかけた。



「でも真面目な話、僕らは体が弱ると変身しちゃうんだから無理は禁物だよ。」

「……うん。」

『大丈夫!あたしがゆんちゃんと一緒に走ってあげるから。』

なつめの提案に驚く由希と透。それもそうだ、男子と女子とでは走るコースが違うのだ。



「…さすがのなつめさんでも男の子の草摩君についていくのは大変なのでは?」

『大丈夫だって!体力には自信あるんだからっ』


『あたしライオンだよ?』とけらけら笑うなつめに、呆れて笑うのは由希と紫呉、透は最後まで不安そうになつめを見ていた。







 


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