季節は冬直前の秋――文化祭の季節が始まる。
「肝心のオニギリの具について意見をききたいと思います。」
なつめたち1ーDは"オニギリ亭"をするらしく今は由希を司会に話し合いが行われていた。
「三色オニギリなんてどうですか!?一つのオニギリに3つの具が入ってるなんて楽しいです!お得ですっ」
透の案に「いいね、可愛くて」と微笑む由希に意見を述べる女子。
「やめた方がいいよォ草摩くーん」
「シーチキンと昆布と梅干しなんかだったらどーするぅ?」
「うげっやだ最悪ぅ〜」
――――ガタンッ
「最悪なのはてめぇらの性格だろ、タコ…」
『そこまで言うなら喋ってないでなんか意見出しなよ。』
透の案を批判するような言葉の数々にしびれを切らした二人が勢いよく女子たちに迫る。
「草摩さんまで!?…えっと、…あの」
ありさは予測できる範囲内だったがなつめの反感まで買うとは思ってなかった女子たちは思わずどもってしまう。
『……ないなら黙ってなよ。』
にこっと微笑むなつめの表情はもちろん可愛らしいが同時に背筋がひんやりと感じる。
「あんたは敵に回したくないね…あたしゃ」
ありさの小さな声はなつめには聞こえず透と咲はこくりと頷いていた。
夾がバトルオニギリなんて馬鹿な案を出すももちろん即却下され、由希がハズレのあるオニギリの案を出すとみんなが賛成と簡単に声をあげた。
納得がいかない夾はぎゃーぎゃー騒ぎ出すがクラスメイトはもっともな突っ込みをいれ軽くあしらう。
クラスメイトとじゃれる夾を横目に由希は役員会議に行くと言ってその場を離れようとする。そこへ多くの人が質問をしに集まりそれをイライラとしながら眺める夾。
『…全く二人して』
由希と透、呆れたように笑うなつめの耳にクラスメイトが騒ぐ声が聞こえる。
「あー!猫!!」
「「『Σっ!?』」」
見ると夾の周りにはたくさんの猫がにゃーにゃーと集っていた。
それを見て騒ぐクラスメイト。心配そうに声をかける透を無視して夾はドアを蹴り壊し教室を出ていく。呆れてため息をつく由希を見てクスッと笑うとなつめは夾を追うように教室を出ていった
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