『今日の晩ごはんなんだろーね♪』

「なつめはまたご飯の話?」

「てめぇの頭んなかどーなってやがんだよ。」

『見てみたいもんだねぇ。』


楽羅が帰った日の放課後、なつめの誘いでしょうがなく…本当にしょうがなく由希と夾と3人で一緒に帰っていた。



『透君いなかったけど先帰っちゃったのかなぁ』

「俺ァ大人数で移動したりすんの嫌いだからちょうどいい…」

「クソ鼠と並んで歩くのもヘドが出る…」と呟く夾に由希の鉄拳が飛んでくる。



『あたしは透君好きだよー』

空を見上げて笑うなつめに二人は争うことをやめ自然に見とれてしまう。


『可愛いし、優しくて柔らかくて……まるでお母さんみたい!!』

楽しそうに話すなつめの口調…しかし表情は辛そうに歪んでいた。

「なつめ…」

「………」


由希も夾も自らの母親となつめの母親を思い出す。



『透君ともっと仲良くなりたいなぁ…まだ呪いのことは言ってないけど…透君ならきっと、絶対捨てないでくれるよね?』


今にも泣き出しそうななつめを見て由希も夾も顔を歪ませる。




「本田さんなら大丈夫、彼女は俺が鼠だと知っても…夾が猫だと知っても全然避けないでくれる」

「むしろあいつも楽しそうだしな」

由希はなつめの肩に手を置きにっこりと微笑み、夾は頭に手を置きにっと笑う。



『……そうだと、嬉しいな』

「「………////」」


嬉しさにはにかんだ笑みを浮かべるなつめはいつも以上に目を奪うもので、周りの男子生徒たちがじっと彼女に見とれていた。

それに気づいた二人ははっとしてなつめの腕を掴む。



「早く帰ろっか。」

「帰るぞ…。」

『え、どうしたの?突然』


なつめは二人に腕を引かれるまま歩いて帰った。























『しーちゃん、ただいまぁ!』

「ただいま」

「おかえり〜、ちょっと来てくれる〜?」

紫呉の声に不思議に思い顔を見合わせた3人は素直に彼がいるであろう居間へと顔を出す。
『何?しーちゃん…、透君!帰ってたんだぁ!一緒に帰ろうって誘おうと思ったんだけどいなかったから』

紫呉の向かいに正座をしている透に気づいたなつめは一人にこにこと話続ける。



「すみません…すみません…」

『そんな謝らなくても。今度一緒に帰ろうね!』

「すみません……一緒には帰れません」


『……え』

透の言葉に不思議そうに首を傾げるなつめ。



「改築が終わったんだそうです…無事に…連絡がおじいさんから今日入って……だから……」


大きな蒼い瞳をさらに開くなつめ、もちろん驚いたのは由希も夾も同じだった。








 


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