「ニラッ!ι」

『レバー!!///』


今日は日曜日の朝。朝食には昨夜由希と透が採ってきたニラを使ったニラレバが出ていた。



『透君大好き!!』

「俺はニラが大っ嫌いだー!!」


ハートを飛ばしながら喜ぶなつめとはうってかわって、青筋を浮かべキレる夾。

「ニラだけじゃないでしょ、ネギと味噌もきらいでしょ」


「味噌汁なら平気だ!」とキレる夾の横で幸せそうに頬張るなつめとその向かいですみませんと謝る透。




――シュルルルル



「食え」

「Σ……っ…」


華麗な箸さばきでニラを夾の口に運んだ由希に、夾は今にも逝きそうな表情だ。



『透君!おいしーよ、これ!!』

嬉しそうななつめの隣でニラと格闘する夾。苦笑するしかない透だった。



と、そこへ





――ピンポーン


「あ、私が出ます」

『モグ――?』

何を感じたのかすっと夾の後ろに隠れるなつめ。



「い…いい加減にしろ!ニラなんぞ食わんと言ったら食わん!!」

「文句があるなら出ていけ」

「言われなくともこんな家出てってやらぁ!」

「まぁまぁ由希君も夾君も……」




―――ガラッ





「#なつめちゃん#!夾君!!」




『…やっぱり』


いきなりの少女の登場に一同の視線がそちらに向く。


「か…楽羅」

『き…夾ちゃん…逃げようよ』



危険を察知したなつめは夾の服の裾を小さく引っ張る。


「夾君…4ヶ月も…なつめちゃんは1年も……どこ行ってたの……どうして連絡……」

これから起こるであろう悲劇を回避するため由希がなつめを引っ張り夾から遠ざける。


「私……私、会い……っ」

『ゆんちゃん、夾ちゃんもっ…』

「会いたかったぁ!!」



なつめの判断は遅く見事なまでに殴り飛ばされる夾。それをすっと避ける由希とそれを追う楽羅を避ける紫呉。

何が起こったのかわからない透は一人驚きに立ちすくんでいた。


『夾ちゃん……ι』

哀れみを含んだ面持ちでぼこぼこにされる夾を見つめるなつめ。心配する透にあれは愛情表現だと納得させる紫呉。



「そして十二支の一人さ。」

「……!やっぱりです……っ」


嬉しそうに何年なのか訊ねると見ていればわかると告げる。



確かに…と思いながら暴れるのを止め、夾に抱きつく楽羅へ視線をやったなつめ。正気に戻った楽羅はやっぱり普通の可愛らしい女の子だった。



















「どうして連絡くれなかったの!?」

「なんでてめぇに連絡しなきゃならねぇんだよ。」

「だってあたしたち結婚する仲なんだし…///」

「いつ決めたー!!?」

「『そうなんだぁ(ですかぁ)!!』」


楽羅の顔を赤らめながらの発言に驚きの声をあげるなつめと透。



「ちげーよ!してねぇから!まじで!!」

慌てて二人に…というよりなつめに弁解する夾に楽羅は不満の声をあげる。


「どうして〜、十二支同士での結婚が一番幸せなんだよ!!」

抱き合っても変身しないし、と言いながらぎゅうっと夾を抱きしめる楽羅はその後由希にも抱きついた。


もう二人十二支に女性がいることを告げる由希の言葉に思わず興奮する透。紫呉と透は楽羅を放ってその二人について話し出す。楽羅が話を本題に戻すため紫呉に話をふった。

「十二支は"普通"の異性と結婚しても上手くいかない事の方が多いんだから…ねっ、しーちゃん!」


紫呉は問題は多いかもしれないねぇと答える。



「物の怪つきだと社会人として働きにくいし、第一抱きあう度変身してたら大変だと思うよ…SE…」




――バシッ


由希が紫呉の顔面をお盆で叩くがそれの意がわからないなつめはかくんと首を傾げた。






 


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