「……何でなつめがいるんだよ。」
『えー、だめなの?』
夕方帰ってきてすぐ部屋に入った夾は夜になってやっとなつめの存在に気づく。騒ぎだす夾に黙ってお茶を飲む由希と紫呉と、にこっと笑って軽くあしらうなつめ。
「だっ…だめじゃねぇ…けど」
『ならいいじゃん!』
「…だっ…めだろ…///」
なつめの笑顔に流された夾は言葉が詰まっていた。
「はい、夾君の負け〜!諦めなよ、慊人さんの命令だもん。」
慊人という名前にぴくっと反応すると表情を変え、大きな音を立てながら階段を上がって行ってしまった。
『…怒っちゃったじゃん』
「怒っちゃったね〜」
二人がのんびり話すなか、由希がゆっくり立ち上がる。
「本田さんを迎えに行ってくるよ。」
『噂の透君!?あたしも会いたい!』
表情をきらきらさせたなつめにクスッと笑うと「すぐ帰ってくるから」と部屋を出ていった。
「一緒に行けばよかったのに。」
『嫌。だって雨降っちゃうもん!』
「なつめちゃんが言うなら降るだろうけど…由希君に教えなくてよかったのかい?」
『……………ι』
「天気予報やってる?」
帰ってきた由希はびしょびしょで隣には透君こと本田透が同じように濡れたまま立っていた。
『ゆんちゃーん!ごめんね!!あたし教えてあげなくてー』
飛びつこうとするなつめの襟を掴んで止めるのは紫呉。
「ちょっとなつめちゃん?まずは透君にご挨拶でしょ。」
はっとしたなつめはすぐに透に向き直る。
『初めまして、透君。あたし草摩なつめです!よろしくね』
いつものように笑顔を向けるなつめに透はあたふたと頭をさげた。
「ほっ…本田透と申します!よろしく…お願いします!!」
そんななか紫呉に突発型台風と聞いた由希はさっさと家を出ていってしまった。
「草摩君?どちらに…」
とことことついていく透を見送るなつめと紫呉。
『あの子…すっごいいい子じゃん!可愛いし!!』
「うん、すっごくいい子だし可愛いんだけど君が言うと何だかあまり説得力に欠けちゃうよ。」
『……?』
苦笑する紫呉にきょとんとするなつめ。
『しーちゃん…』
「何だい?」
『透君に頼んだらお肉食べれるの?』
可愛くても肉食
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