「…ハレルヤ。」
後ろ姿で俺とアレルヤを見分けることが出来る人間は、俺が知る限りこの世に一人しかいない。本人曰く、雰囲気が全く違うそうだ。
「オニキス。」
振り向くと、案の定そこに立っていたのは今にも泣きそうな表情を浮かべたオニキスだった。
「何だよ、シケた面しやがって。」
「…何処にも行かないで。」
真直ぐに自分を見つめるオニキスがぽつりと呟いた言葉に、ハレルヤは目を見開く。
「…ンだよ、いきなり。」
「わからない…でも何だかハレルヤが遠くに行ってしまいそうな気がしたの。」
「俺がお前置いて何処に行くってんだよ。ほら、来い。」
両手を広げると、オニキスはハレルヤの胸に飛び込んだ。縋るようにしがみ付く華奢なオニキスの体を、少し躊躇った後そっと抱き締め返してやる。
「行かないでね、ハレルヤ…。」
「あぁ、何処にも行かねぇよ。ずっとお前の傍にいてやる。」
いつか嘘になるかも知れない、その言葉を口にしながら。
願わくは永遠にその隣に寄り添えることを。
20080223
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