チョコレートと生クリームを混ぜて作ったガナッシュをしぼり器で絞って成型し、冷蔵庫で冷やして30分。あとは溶かしたチョコレートでコーティングして、ココアパウダーとココナッツを塗せばトリュフの完成だ。

「よし、完璧。」

台所に立つオニキスは、鼻歌を唄いながら楽しげにチョコレートを作っている。何でも今日は女が好きな男にチョコレートを贈る日らしいのだが、ハレルヤにしてみればその間自分の相手をしてもらえずに不満だった。オニキスの手で転がされ、綺麗に整えられていくトリュフ達が少々嫉ましくもある。

「へぇ?わりと美味そうだな。」

オニキスの背後からひょいと手を伸ばして、コーティング前のガナッシュを一粒取り口に入れて頬張った。

「あ!こらハレルヤ、つまみ食いするな!」

いい感じに舌の上で溶け、程よい甘さが口一杯に広がる。なかなか絶品だ。もう一粒、と手を伸ばすと、オニキスにぺちんと手を叩かれた。

「ンだよ、いいじゃねぇか。どうせ俺の分なんだろ?」

「それは…そう、だけど…」

「だったら問題ねぇよな?」

てっきりいつものように怒られるかと思ったのだが。予想外に俯いて赤くなったオニキスの頭を、ハレルヤはぐしゃぐしゃと乱暴に撫でて笑った。





Valentine's Day

優越感と独占欲に浸れる日。











20080214



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