オニキスの膝に頭を乗せて横たわり、ハレルヤはオニキスの顔を見る。
だが彼女の目が見ているのは自分ではなく、淡いクリーム色をした毛糸だった。先程から細やかに手を動かして、二本の棒で器用に何かを編んでいる。
「…」
それが不満で、手を伸ばし編みかけの毛糸を奪い取ってやると。
「何?ハレルヤ。」
オニキスは奪われた毛糸とハレルヤを見比べてから、楽しそうに笑った。
深緑色をした髪に指を絡めて梳いてやる。
「相手してくれなーい、とか思って拗ねちゃった?」
「んな訳ねぇだろうが。邪魔してやりたくなったんだよ。」
ハレルヤは不機嫌そうな顔をしてふい、と顔を逸らした。口ではそう言っているが、オニキスには拗ねているようにしか見えない。
「素直じゃないんだから。」
「うるせぇ!!」
胸ぐらを捕まれ、乱暴にぐいと引き寄せられる。金色の瞳が近づいて、強引に唇が奪われた。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………長い。
息が続かず苦しくなってドンドン胸板を叩いて、ようやく解放される。流れ込んできた酸素を取り込んで、オニキスは少し涙が浮かんだ抗議の目でハレルヤを見た。
「長いってハレルヤ!酸欠で死んじゃったらどうするの。」
「その前にオニキス不足で俺が死ぬ。」
「…」
真顔で返された言葉に目を丸くして惚けていると、もう一度引き寄せられ、唇が重ねられた。目を閉じる。一瞬唇を離し、ハレルヤは体を起こして再びオニキスに口付けた。華奢な背中に手を回して抱き締めると、オニキスはすっぽりとハレルヤの腕の中に収まった。
必要不可欠なモノ空気よりも何よりも。
Req≫甘夢
20080112
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