「最近ティエリア柔らかくなった。」
突然オニキスがそう言うので、ティエリアは壁に背を預けたオニキスに落としていた軽い口付けを止めた。少しの間思案して、オニキスの目を見つめる。
「…そう、か?」
「うん。雰囲気とか、表情とか。」
自覚は無いが、いつも自分を見ているオニキスが言うからそうなのだろう。そしてそれは間違いなく、目の前にいる彼女に感化された結果だと言える。
「ならばそれはオニキスの影響だろう。」
「そうなの?」
「…」
答える代わりに、眼鏡を外して再びオニキスの唇を食むようについばむ。舌を入れて口腔をなぞれば、オニキスは応えるように必死に舌を絡ませ返した。
それが愛しくて、貪るように深く深く、何度も繰り返す。
「ん…っ、…ぅ!」
耳に届くリップ音と、体が溶けてしまいそうな感覚。
ゆっくりと唇が離れた瞬間、膝からかくんと力が抜けた。バランスを失ったオニキスの体を、ティエリアは咄嗟に腰に手を回して支える。
「オニキス?」
「力…抜けちゃった…」
ティエリアはふっと頬を緩め、上気した頬で自分を見上げるオニキスの体をふわりと持ち上げた。
膝下に腕を通して抱え上げ、もう片方の腕は背中に。
俗に言うお姫様抱っこですっぽりと抱き抱えられたオニキスは、ティエリアの首に手を回しその頬に口付ける。
「ふふ、今日は何処に連れていってくれるの?王子様。」
「何処へでも。君の行きたい所へ。」
私だけの王子様Req≫甘々でお姫様抱っこ夢
20080305
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