ミッション終了後、オニキスはナドレが着艦したコンテナへと急いだ。

人革連によるガンダム鹵獲作戦。その応戦の最中、ヴァーチェは隠されたもう一つの姿であるナドレを敵前に晒した。誰よりも厳しく、常に完璧を求めてきたティエリアにとって、ヴェーダの計画を歪めてしまったという事実は許し難い失態であるに違いない。

「ティエリア…。」

通信は切られ、依然回線は閉じられたまま。着艦してからも、ティエリアがコックピットから出てくる様子は無い。

募る不安を押さえてコンテナに入る。ナドレに近づくと、オニキスは沈黙したままのコックピットハッチを恐る恐る叩いた。

「…ティエリア?」

呼び掛けても返事は無い。オニキスはもう一度ハッチを叩く。

「私よ、ティエリア。開けて?」

暫くの沈黙の後、漸くハッチが開いた。と同時に、視界が紫に染まる。

「ティエ、」

「オニキス……私…は……!」

縋りつくように、オニキスを抱き締めるティエリア。小刻みに震えるその身体に、オニキスはそっと両腕を回した。

「大丈夫、大丈夫だから…。」





本当は誰よりい貴方

せめて私の前でだけは、無理に強がろうとしないで。











20071230



00TOP