大きな手がくしゃりと髪を撫でる感覚。それがとても好きで、オニキスはロックオンの胸元に頭を預けた。

「ロックオンの手、凄い安心する…。」

髪の流れに添って伝う指先は心地よく、オニキスはうっとりと目を閉じる。

「そうか?」

「そうなの。」

“包容力”と言う言葉では表しきれない、存在を根底から掬い上げて包み込んでくれるような。大袈裟だと笑われるかもしれないが、そんな力がこの手には宿っている気がする。

「ロックオン、ぎゅってして。」

「…ん。」

背中に大きな手が回り、オニキスの体を引き寄せて抱き締める。すっぽりと胸の中に収まると、オニキスは満足そうに小さく笑った。頬をすり寄せ、ロックオンの体に腕を回してぎゅう、と抱き締め返す。

「何だ、随分と甘えん坊だな?」

「ねぇ、ロックオン。あたしロックオンがいてくれたら何も要らないよ。」

「オニキス…。」

突然のオニキスの言葉に、ロックオンは少しだけ驚いたように目を開いた。それから翡翠の瞳を穏やかに細めて、どこか照れ臭そうに微笑む。

「それは俺もおんなじだ。」

額に掛かった前髪を指先で掻き分け、軽く口付けを落とす。最愛の者が自分の腕の中にいる幸せを噛み締めて、そっと。

「…お前がいれば、それでいい。」

甘い声が、吐息と共に耳を擽った。




の核

君がいるから、世界が在ると思うんだ。












Req≫相互記念夢御礼(蓮に)

20080626



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