「あ、かざみん!」
「君は……いや。
前から聞こうと思っていたのだが、その"かざみん"とはなんだ」
「風見さんだから、かざみん」
「なんだか、慣れないな」
「そうですか?でも、かずみがかずみん、うつみがうつみん、とくれば風見さんは必然的にかざみんなので。これからもそう呼びますよー」
「その二人が誰かは知らないが、まぁ悪い気はしないな」
「かずみんもうつみんも、ラブアンドピースのために戦うヒーローなんですよ!
かざみんも似たようなもんでしょ?」
「そうかもな」
「あ、かざみん。ちょっとしゃがんで」
「ん?こうか?」
風見が言われた通りしゃがむと、茜と視線がかち合う。そして彼女はにんまりと笑う。
「そそ!ありがとう。
かざみん、よしよし」
いい子いい子と、頭を撫でる。
「な、何を!」
突然のことに驚く風見は、後ろへ大きく飛び退いた。
「いっつも安室さんにパシられて大変そうだなと思ってさ。
かざみんはちゃんと務まってるよ。大丈夫……ってわたしに言われても困るか」
そう、少し照れくさそうに彼女に一歩歩み寄る。
「いや、ありがとう。
君は優しいのだな」
そして、今度は風見がポンと茜の頭へ手を置いた。
「へへへ…」
「風見、何をしている」
そんなことしていると、聞きなれた年下上司の声が。その瞬間、茜の目の色が変わった。
「降谷さ「安室さーーん!安室さんのお尻を触らせろーー!」……」
「やめろ!それ以上俺に近づくなー!」
1人取り残される風見は、彼女と降谷の鬼ごっこを見守っていた。
「風見!!見てないで助けろ!」
「安室さん、かざみんにもっと優しくしてあげてよー。そしてわたしにそのお尻を差し出せ!」
「断る!」
さっきまでの彼女は幻覚だったのか、それとも幻覚を見るほどに疲れているのかとため息をついたのだった。
おわり
bkm