ここに住みたいです!ジンさんと一緒に。
住まわせてください!わたし、トリップしてきて家がないんです。ついでに戸籍もお金もないんです。
とか何とか言って、工藤邸に住むことになりました!
もちろんジンさんも一緒!
ジンさんのセーフハウス的な所でもいいんじゃね?とは思ったけど、いきなりジンさんと二人きりの生活はわたしの心臓がもたない。
何よりわたしは、家事が一切出来ないからな!
で、今コナンくんに部屋に案内されてます。ちなみにジンさんとは部屋が別で、赤井さんが案内してます。まぁすぐ隣なんだけどね。
「コナンくん、ありがとうね」
部屋に入ってからわたしは、コナンくんにお礼を言った。
「ボクは何もしてないよ?」
「いやいや、わたし達がここに住むことを許可してくれたでしょ?ジンさんという超危険人物も一緒に」
「何か茜さんなら大丈夫かなって思ったから」
「まぁ、わたしだけなら特に害にはならないけど。
ジンさんもだよ?え?大丈夫なの?」
部屋のベッドに腰掛けて、コナンくんを見つめる。
小さくてもイケメンオーラはあるな。
ジンさんのが数百倍かっこいいけどね。
「さっき赤井さんとジンが話してるの聞いたんだけど、茜さんの日常を脅かそうとするやつらは誰であろうと容赦しないって言ってたよ?
だから大丈夫かなって。
それに何かあれば赤井さんがいるし」
「ジンさんイケメンかよ!あーヤバい…ジンさん好きすぎてどうにかなっちゃいそう」
「ははは……茜さんって本当にジンのことが好きなんだね」
「もちろん!
わたし、ジンさんが大好きなんだー」
たぶん今のわたしは、幸せオーラ全開のデレデレした顔をしてると思う。
「随分と締まりのねぇ顔してるじゃねぇか」
「え!?ジ、ジンさん、いつからそこに?」
「さぁな」
ジンさんがいつの間にかわたしの部屋に来ていた。
しかも、じりじりと近付いて来るんですけど。
わたしは、ベッドに座ってて逃げようにも逃げられず、あっという間に至近距離にジンさんがいた。
「ジ、ジンさん近いんだけど…」
ジンさんはわたしを囲うようにベッドに手をついて、完全に逃げ場をなくした。
それでも悪あがきはしたい。
と思ったのが間違いだった。
わたしは徐々に後ろへ反っていったけど、まぁ当然ベッドに背中から倒れるよね。
そして視界には天井とジンさん。
あろうことか、わたしの手を掴んで指を絡めてきた。
ちょっと待って、この体勢はヤバいって!コナンくんが見てるよ!
と思ったけど、彼はいつの間にかいなくなってた。え?嘘でしょ?いなくなるの早くない?
「考え事とは随分と余裕そうじゃねぇか…茜」
耳元で名前を囁かれると、顔が赤くなるのを感じた。
心臓の音もうるさく聞こえる。
普段名前をあんまり呼ばないくせして、こういう時呼ぶなんて狡いと思う。
「ジ、ジンさん…ま、まって」
「俺が好きすぎてどうにかなりそうなんだろ?
だったらどうにかしてやるよ」
ヤバいヤバいヤバい!
心臓がめっちゃドキドキしてるよ!
ど、どうしよう!キスされる!キスされちゃうよ!
ぎゅっと堅く目を瞑り、唇に来るであろう感触を覚悟して待つが、来ない。
と、思っていたらほっぺに柔らかい感触が。
「…………へ?」
目を開けると、それはもう愉しそうにくつくつと笑うジンさん。
えー……まさかのほっぺにちゅー?
あの、ジンさんが?
ほっぺにちゅー?
「何だ?期待したか?」
おいこら、わたしのドキドキを利子つけて返せ!
なんて言うとろくなことがないので、心の中で止めておこう。
「べ、別に期待はしてないし!」
ベッドに倒れたまま、ぷいっとそっぽを向くわたし。
でも、繋がれた手が視界に入り、ますます顔が赤くなってしまう。
「うわぁ……ほんとにどうにかなっちゃうよ」
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bkm